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デンマークで戦う選手に見る“才能”の伸ばし方。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

posted2007/04/05 00:00

 日本人選手が2人所属するヨーロッパのクラブといえば、宮本恒靖と三都主のザルツブルクと、梅崎司と伊藤翔のグルノーブルが有名になりつつあるが、もう1つ存在することをご存知だろうか。中島ファラン一生と橋本卓が所属するデンマーク1部のベイレだ。

 この2人の経歴は異色だ。

 2006年2月、シンガポールリーグのアルビレックス新潟・シンガポールで新人賞に輝いた中島は、当時2部だったベイレに引き抜かれた。中島はベイレの昇格に貢献すると、今季は5得点をあげてカナダ代表に選ばれた。ちなみに中島はイギリス人の父と日本人の母のもとカナダで生まれ、ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)ユースで育成された国際派。Jリーグの新潟では芽が出なかったMFが、今年はゴールドカップ(北中米カリブ海選手権)に出場するかもしれないのだから、人生わからない。

 この中島の活躍によって、ベイレのフロントは気がついた。日本には安くてうまい金の卵が眠っている、と。そして今年2月、新潟Sから24歳の橋本を獲得したのだ。

 関西学院大で活躍した橋本だが、国内のクラブからオファーをもらうことはできなかった。そこで思い切って新潟Sのテストを受けることを決意。新潟Sではゲームメイカーとして活躍して、ベイレの目に留まった。

 橋本は言う。

 「日本に残っていたら、チャンスはなかったでしょう。シンガポールで外国人と対戦したことで、日本時代にはわからなかった自分の力が見えてきたんです」

 2人の歩んだ道を見て、ひとつ言えることがある。それは「試合に出なければ、才能は磨けない」ということだ。Jリーグに入団しながら、1試合も出場せずに2、3年で解雇される若手は少なくない。そのなかには、中島や橋本以上の才能を持った選手もきっといただろう。しかし、いくら1部のクラブに入団しても、練習だけで力をつけるのには限界がある。

 Jリーグで失敗、もしくは入団できなかった若手のなかにも、欧州でプレーできるポテンシャルを持つ選手がいることを中島と橋本は示してくれた。こういう優れた人材を無駄にしない仕組みを作ることも、今後の日本の課題になるだろう。

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