SCORE CARDBACK NUMBER

笑って許されなかった、
アリーナスの銃所持事件。
~NBA屈指のPGが出場停止に~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byNBAE/Getty Images

posted2010/01/29 06:00

問題となった試合前のポーズは映画「エニイ・ギブン・サンデー」のワンシーンの真似だった

問題となった試合前のポーズは映画「エニイ・ギブン・サンデー」のワンシーンの真似だった

 ギルバート・アリーナス(ワシントン・ウィザーズ)にとって、笑いはいつも癒し薬だった。幼いときに麻薬中毒の母に見捨てられた寂しさも、父と2人、住むところがなくて車で生活した苦労も、ふざけ、ジョークを言い、笑うことで和らげてきた。

「笑いは苦痛を癒してくれるんだ」とアリーナスは言う。

 そんな彼は大のいたずら好き。チームメイトのスーツを切り刻んだり、車の鍵を盗りこっそり移動させて驚かせたり、傍から見ると少しやりすぎではないかと思うようないたずらを頻繁に仕掛ける。アリーナスに悪気がないだけに、いたずらをされたチームメイトたちも最後には笑って許してしまうのだった。

NBA規則だけでなく、州法にも抵触する度を越した悪ふざけ。

 今回の騒動も、始まりはいつもの悪ふざけだった。遠征から戻る機内でチームメイトのジャバリス・クリッテントンと言い争いになり、売り言葉に買い言葉で、2日後の練習前、ロッカールームで拳銃4丁を並べてみせたのだという。拳銃に弾はこめられていず、本気で撃ち合うつもりは毛頭なかった。

 しかし拳銃をアリーナに持ち込んだことは、練習場や試合会場に拳銃を持ち込むことを禁止するNBAの規則に反するだけでなく、自宅外に拳銃を持ち出すのは違法というワシントンDCの法律をも犯していた。すぐに拳銃を警察に渡し、捜査にも協力すると表明したアリーナスだったが、その後がいけなかった。いつものように、笑いに問題の解決を求めてしまったのだ。

 たとえばアリーナスとクリッテントンが拳銃を抜きあったと報じた新聞記事に対しては「まるでOK牧場のようだ」「ジョン・ウェインになったかと思った」と笑い飛ばした。また1月5日の試合前にはチームメイトに囃され、笑いながら両手を拳銃のように構えてみせた。

笑えないジョークのせいで出場停止処分を下される。

 しかし、世間はアリーナスといっしょに笑わなかった。反省の色が見えないアリーナスに業を煮やしたコミッショナーのデビッド・スターンは、この直後、彼に期限未定の出場停止処分を下した。その後、1月27日には今季残り試合の出場停止(無報酬)という処分にされている。

 笑いはこれまでアリーナスの問題を解決してきたかもしれないが、すべての問題に対しての特効薬ではない。アリーナスがそのことに気づき、早くコート上で活躍する日が来ることを願うばかりだ。

■関連コラム► 自信満々プレイヤー、アリーナスの時代到来。 (07/01/25)

ページトップ