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若手ドライバーはいつ海を渡るべきか。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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posted2008/02/28 00:00

 昨年、アメリカでのレース活動1年目にして好成績を挙げた武藤英紀は今年、アメリカ最高峰のフォーミュラカーシリーズ、IRLにトップチームであるアンドレッティ・グリーン・レーシングから参戦することが決まった。一方、昨年はヨーロッパでGP2を戦っていた中嶋一貴は今年、名門チームであるウイリアムズからF1デビューを果たす。

 二人とも、それぞれホンダとトヨタが推進する若手育成プログラムの流れに乗って、それぞれの頂点を極めた形であることには注目したい。育成プログラムという活動がそれなりの結果を結び始めたのは事実であり、今後メーカーが関わる育成プログラムにはこれまで以上の志望者が集まってくるに違いない。

 そこで問題なのが、果たしていつの段階で彼らを日本から海外へ旅立たせればよいのか、だ。たとえば武藤は、F1に行くなら出来る限り早くヨーロッパへ行くべきだと考え、中学校の卒業式の翌日にイギリスへ渡り、自費でレース活動を始めたが、4年間で帰国、ホンダの育成プログラムに入り直して今の立場を得た。もし本場でレースをして才能を見せつけても、日本からのバックアップが得られなければ海外で活躍するのは無理、というのが彼が海外で得た結論だ。

 一方、一昨年のFCJでシリーズ2位になった山本龍司は、日産のバックアップを受けて昨年、18歳でヨーロッパのフォーミュラ・ルノーを戦ったが、日本で学び取ったドライビングスタイルではヨーロッパのレースに通用しなかったと言っている。念のため言えば、どちらが上か下かと短絡すべきではない。少なくとも若手育成レベルでは、日本とヨーロッパではドライビングに対する考え方に明らかな相違がある、ということだ。

 その文化の違いをどのタイミングで体験させれば若い才能がそれを受け入れて消化し結果に結びつけることができるのか。結局武藤は国内でF3からフォーミュラ・ニッポンまでを経験し直してアメリカに渡った。中嶋も国内でF3を経験してからヨーロッパへ渡った。山本は今年もヨーロッパで戦い続けるようだが、その成り行きはいかに。早すぎても遅すぎてもうまくいかないし、才能の個人差もあるだろう。育成プログラムでは、海外挑戦のタイミングの見定めが難しい。

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