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「星野監督騒動」とは何だったのか? 

text by

越中二郎

越中二郎Jiro Koshinaka

PROFILE

posted2005/10/13 00:00

 あれは何だったんだ? そう思っている方も多いはず。今夏、1カ月に及んだ星野仙一・阪神SDの巨人監督騒動である。取材にあたったマスコミの一人として、自戒の念を込めて振り返ってみたい。

 騒動の発端は8月8日発売の『週刊現代』。大学時代からの友人の記者が執筆者だった。同11日には日刊スポーツも1面で〈巨人、来季監督候補に星野SD〉と報じた。同紙は星野氏が現役引退後、専属評論家をつとめるなど関係が深いとされている。2つの記事に星野氏が抗議したという話も聞こえてこない。何かある。そんな推測を裏打ちするかのように、星野氏は「光栄」という言葉を使い、巨人の渡辺恒雄会長は「立派な監督」と語り、報道は一気に過熱する。折りしもセ・リーグは阪神と中日が優勝争いの真っ最中だったが、スポーツ紙の1面を飾ったのは“星野”の二文字だった。

 おそらく、あの時点では星野氏自身、巨人入りも検討していたのではないか。しかし9月10日、星野氏の阪神残留会見で騒動は沈静化した。破談の原因は薮の中だ。

 さまざまな状況証拠があったとはいえ、星野氏の巨人監督問題がなぜここまでヒートアップしたのか。

 背景にはまず、目に余る巨人の体たらくがある。観客動員は開幕直後から落ち込み、テレビ視聴率はワースト記録を更新。GW前後に堀内監督休養説が流れ、まさかと思ったが発信源は読売新聞幹部で、危機感の大きさが伝わってきた。

 良し悪しは別にして日本球界が巨人中心に回っている以上、これはまずい、というのが当事者のみならず我々マスコミの共通した認識だった。7月になると監督候補に星野氏やヤンキースのトーリ監督の名前が取り沙汰されるようになりマスコミの中にも、その実現を期待する声があった。そんな時、“星野巨人監督”を示唆するさまざまな情報が流れたのだ。

 星野氏の残留会見を受けて巨人番記者が一斉に落胆したという話もある。今、名前があがる巨人OBが次期監督になれば来季以降の巨人、ひいては球界のニュースバリュー低下は否めないと案じているのがマスコミの本音だろう。報道する側のこんな心理も、騒動過熱の背景にあったことは認めざるを得ないのである。

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