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日ハムを勢いづける嬉しい誤算・押本健彦。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2004/09/09 00:00

 監督にとって一番嬉しい誤算は、キャンプ中には期待していなかった選手がペナント争いの戦力になる事である。そんな選手が多いほどチームは勢いづいていく。

 今季から本拠地を札幌に移した日ハムの健闘は、まさにその見本だ。日ハムの投手陣はエースの金村曉以外は、ミラバルが不調、岩本勉もイマイチとコマが足りない状況だった。そこでヒルマン監督が抜擢したのが押本健彦であった。4月9日のダイエー戦に中継ぎで結果を出すと「高橋(信二)さんのミットめがけて投げただけ」とルーキーらしいコメントを残した。対戦した王監督の評価も「えらく勢いのある若者が出てきたね」というポジティブなもの。2回2/3で5奪三振を高く評価していた。

 プロ野球の選手は、初めて試合に出てから5試合以内に結果を出せば、波にのっていけるといわれている。打者だったら安打か本塁打、投手ならば白星を挙げるということだ。押本の初勝利は初登板から3試合目の4月16日のロッテ戦。相手がエース清水直行だったこともあって「エース相手に物怖じしないピッチング」とヒルマン監督はベタ誉め。ストレートで三振が取れることも高く評価された。

 プロ入り3年目の江尻慎太郎の存在も押本には刺激となっている。自由枠入団ながら2年間勝ち星ゼロだった江尻は「下でいくらいいピッチングをしたって、何にもならないんだ。1年たち、2年たってくると、もう(一軍で)勝てなくなってしまうのではという不安に襲われてしまう。上で勝ってナンボだよ」と話していたのだ。この言葉にもピンとこなかった押本だが、初勝利を挙げて涙を流す江尻の姿にプロの厳しさを教えられたのだった。

 二人はキャンプ中に、どちらが先に初勝利を挙げても、お祝いしようという約束を交わしていた。それがいまでは、どちらが勝ち星が多いかという賭けに変わった。お互いが意識しあいつつ勝ち星を挙げていくパターンはプレーオフへの追い風となっている。白井一幸ヘッドコーチも「ローテーション投手が崩れてくる中で、二人がいなかったらと思うとゾッとする」と本音を明かしている。

 「ライバルの存在が緊張感を持続させている」という押本が、日ハムのプレーオフ進出の鍵を握っている。

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北海道日本ハムファイターズ

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