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最高峰の自転車レース、
ツール・ド・フランス。 

text by

森高多美子

森高多美子Tamiko Moritaka

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photograph byHitoshi Omae

posted2007/07/12 00:00

最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランス。<Number Web> photograph by Hitoshi Omae

 ロードレースの最高峰にして世界でもっとも過酷なスポーツイベント、ツール・ド・フランスの季節がやってきた。

 7月7日から29日までの約3週間をかけて、今年はイギリスのロンドンをスタートし、ベルギーとスペインをかすめながら、フランスを時計回りに一周する。

 ランス・アームストロングが7連覇の偉業を最後に引退してから2度目となる今年のレースだが、彼の後継者はおろか、優勝候補の名前さえ挙げにくいのが現状だ。そんな中、唯一本命といえそうなのはアスタナ所属のアレクサンドル・ヴィノクロフだろう。昨年のツールは不運にも不参加を余儀なくされたが、同年8〜9月に行われたツールと同じグランツール(三大レース)のひとつ、ヴエルタ・ア・エスパーニャでは堂々の総合優勝を果たしている。また6月にフランスで行われたツールの前哨戦とされるドフィネ・リベレでもステージ優勝を飾るなど調子を上げてきており、ツールに照準を合わせていることは確実だ。この大会ではアスタナの他のメンバーも活躍しており、チームとしてもエースを総合優勝に導くだけの実力を備えてきたようだ。

 これに、昨年のプロツアーチャンピオンであるケースデパーニュ所属のアレハンドロ・バルベルデがどこまで絡んでくるかが今年の優勝争いの見所となる。

 一方、5〜6月に行われたグランツール、ジロ・デ・イタリアで総合2位となったアンディ・シュレック(CSC所属)のようなノーマークの若い選手が活躍する可能性も、今年のようないわば戦国時代においては大いにありそうだ。

 ロードの勝敗は山で決まるという印象があるが、今年のツールはプロローグを含め三つの個人タイムトライアル(T・T)が合計距離117kmに及ぶ長さであり、勝敗を大きく左右しそうだ。30kmのT・Tなら1分の差でも、この距離では4分近い差となり、山を得意とする選手が3つしかない山頂ゴールでT・Tを得意とする選手から逃げ切れるかどうかは微妙だろう。

 近年ドーピング問題で揺れるツールだが、大多数の選手は薬物とは無縁であり、禁欲的な鍛錬を積んでこのレースに臨んでいる。そうして培った知恵と体力と気力のすべてを搾り取る3550kmの極限の旅が、今年も彼らを待っている。

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