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悩む涌井の心を開いた、
先輩松坂のアドバイス。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2005/12/08 00:00

 高卒ルーキーとして1年間を過ごし、迎えた秋季キャンプ。グンと成長できるかどうかは「いかに体をいじめられるかにかかっている」と、西武の宮本英治トレーニングコーチは言う。

 今年3位に終わった西武で、いま一番伸びてほしい男は、涌井秀章である。横浜高時代、高2のセンバツで準優勝、高3夏はベスト8、国体で優勝という輝かしい成績をあげて入団した昨年のドラフト1位。しかし、今年はなかなか勝てず、1勝6敗の成績に終わった。

 同期には日ハムのダルビッシュ有がいる。東北高2年の夏に準優勝。高3のセンバツ1回戦では、熊本工相手にノーヒットノーランも達成と、甲子園を沸かせた者同士だ。

 「ダルビッシュと僕はタイプがまったく違う。最初はアイツには勝てると思っていた」

 と言っていた涌井だが、ダルビッシュの成績は5勝5敗。4勝の差を付けられた。変化球を操るダルビッシュと違い、力で勝負するタイプの涌井にとって、プロの壁はスピードだった。また、2段モーションを指摘され、投球フォームにも狂いが生じた。

 そんなとき、声をかけてくれたのが、6歳年上の松坂大輔である。フォームに悩む涌井にアドバイスをした。

 「思い通りにやってみろ。フォームを考えるより、気持ちよく投げることを考えろ」

 西武に入団以来、横浜高の偉大な先輩である松坂の影をいつも意識していた。出来のいい兄貴を持つ弟のコンプレックスのようなものだったかもしれない。

 「いつも自分ひとりで考えていたところがある」

 ライバル・ダルビッシュへの焦りにも似た思い、プロの力の壁をどう打ち破るかという現実のなかで、いつも一人で悩んでいた。そんな涌井の気持ちを察して声をかけてくれた先輩に、心を開かれた思いがした。

 「上半身のパワーをつけることでもっと力のある球を投げたい」というのが秋季キャンプの目標。キャンプ終了後も、自主的にトレーニングジムに通うことを決めている。目指すは2年目の変革。“技のダルビッシュ”に対して“力の涌井”と呼ばれることだ。

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