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試合が荒れるのは審判だけの責任か。 

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浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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posted2008/10/23 00:00

 正直、またかよ、と言いたくなる。J1第28節のG大阪対鹿島で、誤審騒動が起きた。ここでは詳しく説明しないが、佐々木竜太を引きずり倒した中澤聡太は、退場処分が適切だった。

 今年はシーズン早々、ゼロックススーパーカップで笛を吹いた家本政明主審が、「混乱を招き、Jクラブやサポーターから受け入れられにくい状態が続く」と判断され、Jリーグの担当を外される大騒動が起きている。「混乱」を処分の理由にするなら、冒頭の試合を担当した佐藤隆治主審にしても、これまで十分に混乱を招いていると思うのだが……。

 別に、この場で審判を糾弾しようというのではない。むしろ、逆だ。

 最近、Jリーグを見ていて、それほど判定に問題のない試合でも、不必要に荒れた雰囲気になることが多い。一般論として審判に問題があるのは事実だが、これでは事の本質が見失われてしまう。

 現状、選手やマスコミの不信感や知識不足が、火のないところに煙を立ててしまっているケースが少なくない。審判を敗戦のスケープゴートにしているだけでは、と思うこともあり、見ていて決して気持ちのいいものではない。

 特に気になるのは、試合後の選手から聞かれる、「こっちは生活がかかっているのに、それが判定によって脅かされてはたまらない」といった主旨の発言である。

 ならば、なぜ試合を決める重大なミスを犯したチームメイトに同じことを言わないのか。審判も同じひとつの試合を作り上げる仲間だ、という意識があまりにも欠けている気がする。

 その点、J1第27節の横浜FM対大分では、少しホッとさせられた。

 大分にとっては17戦不敗の記録が止まり、判定に抗議したシャムスカ監督が退席になる、踏んだり蹴ったりの試合。だが試合後、不当処分と息巻く記者たちを前に、溝畑宏・大分社長が口にした言葉は、「それよりも、今日は攻められなかったからね」。監督代理で記者会見に臨んだマルセロ・コーチも、両チームの戦いぶりを淡々と分析するのみだった。

 寛容になれ、と言いたいのではない。本当のミスはミスとしてもっと厳しく指摘すべきだし、審判への処分もあるべきだ。だが、それをするにはもっと理解が必要だと思う。

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