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Jリーグの停滞感を吹き飛ばすために。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2008/10/09 00:00

 Jリーグは停滞している──。筆者がドイツから一時帰国し、ひさしぶりにJリーグを観戦した率直な感想がこれだった。もちろん3週間の滞在だったのですべてを見たわけではないが、ワンプレーにかける気迫や真剣度が、欧州に比べると随分と軽かった。このプレーに負けたら自分の職を失う、そういう緊張感をJリーガーから感じられない。浦和の高原直泰が、ブンデスリーガ時代に比べ驚くほどリラックスした表情でプレーしているのが印象的だった。

 そう感じているのは筆者だけではないらしい。日本サッカー協会の犬飼基昭会長が、会長就任時のスポーツ紙のインタビューで、まさに本質を突いた分析をしていた。

 「日本はプロ化して16年、経済的にある程度満たされた現状で、選手は目標を見失いがちになっている。欧州移籍は難しい。Jでそこそこやっていれば生活はできる。こんなよどんだ雰囲気がある」

 よどみ──これほど今のJリーグにぴたりとはまる言葉はないだろう。欧州という上のレベルを目指すわけでもなく、国内で特別な選手になろうという気概もない。Jリーグが金銭的にも人気的にもある程度満たされ、こんな選手の割合が増えてきたように見える。

 いったい、どうしたらこの停滞感を吹き飛ばせるのだろう?

 犬飼会長は「選手が触発されるように、それでいいのかと発言していくべき」と言う。ファンが高いレベルを要求すれば、選手の尻にも火がつく。

 個人的には、もっと給料に格差をつけるべきだと考えている。たとえ国内に留まっても、給料が実力に応じてきちんと伸びるのであれば、選手の向上心が焚きつけられるはずだ。だが、今のJリーグでは遠藤保仁のような優れた選手でも、勝利給を含めて1億円前後という寂しい状況だ。イタリアでカカが14億円、ドイツでシュバインシュタイガーが4億円もらっているのとは大違いである。

 突き詰めれば、クラブ経営者がリスクを負った選手査定をしていないのが原因なのだが、それはまた別の機会に譲ろう。とにかく今のままでは、Jリーグはタコ壷化して、コアなファン以外は見なくなる危険性がある。夢のあるリーグにするために、手を打つべき時がきている。

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