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新井田のV8を阻んだゴンサレスの実力。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2008/10/09 00:00

 前評判通り、いや、それ以上の強さだったと言うべきか。横浜のトリプル世界タイトル戦のトリ、WBAミニマム級戦で新井田豊を4回でストップに追い込み新チャンピオンとなった、ローマン・ゴンサレスである。

 こう言っては身もふたもないが、新井田の一番の敗因はゴンサレスが強すぎたことに尽きる──そうとでも考えなければ、新井田が4年あまり温めた王座をなす術なく失った事実が納得できない。ゴンサレスの強打を浴び、鼓膜を破られ、右目が大きく腫れてのTKO。「ぶざまにやられた」と敗者は言ったが、新井田でなければダウンは免れなかったろう。

 リング上での力強くそつのない試合運びは、その童顔と“チョコラテ(チョコレート)”なるかわいらしいニックネームからは想像がつかない。しかし、ファンの人気を掴むのはこのタイプだ。

 ニカラグア出身の21歳。アマチュアの王者だった父の手ほどきで、10歳からグローブを握る。センスもパワーも一級品で、早くも22度防衛の“小さな巨人”リカルド・ロペスに比肩するとの声もあるが、同じ強打者でも戦法は異なる。慎重に守りを固めながら強打を狙ったロペスに対し、ゴンサレスは「圧力がすごかった」と新井田を唸らせたように、グイグイ前に出て矢継ぎ早に強打を繰り出す攻撃型だ。

 「アルゲリョの再来」とも呼ばれる。世界3階級を制覇したニカラグアの英雄アレクシス・アルゲリョには、特別コーチを依頼している。ボディ、顔面とお構いなしに放つ鋭いアッパーカットは、まさにアルゲリョ仕込みである。

 ラテンの天才たちはチャンピオンになるまでは桁外れに強いのに、その後は酒とバラの日々に忙しく、短命王者に終わるケースが多い。ゴンサレスはどうか。昨年、初来日でのインタビュー時には、信仰心の篤い真面目な青年という印象だった。酒も煙草もやらず、「チャンピオンになったら、いつか教会を建てたい」と夢を語っていた。ボクシングに集中できる環境が今後も続いてほしいものである。

 さて新王者の今後だが、最軽量級とあって、一番稼げるのは日本ということになる。高山勝成はじめこの階級の日本のトップ選手にとっても、挑みがいのある相手だろう。ただ、ジムが大事をとって挑戦を手控える可能性もあるが……。

■関連コラム► トリプル世界戦で新井田は脱皮できるか。 (2008年9月4日)

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