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デラホーヤの引退試合は“世紀のミスマッチ”か。 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph bySumio Yamada

posted2008/11/06 00:00

デラホーヤの引退試合は“世紀のミスマッチ”か。<Number Web> photograph by Sumio Yamada

 一方で「ミスマッチ」と言われながら、チケットが前売り開始当日に完売となる“ドリームマッチ”が、12月6日ラスベガスで実現する。スーパー・フェザー級からミドル級まで6階級の世界王座を制覇した“ゴールデンボーイ”オスカー・デラホーヤと、ライト・フライ級からスタートして現在は世界ライト級王者のマニー・パッキアオ。当代随一の超人気ボクサー同士の対決だ。

 ウェルター級の契約体重66.68kgを目指して、オスカーは減量し、パックマンは逆に増量する。体重制のこの競技の常識では考えられないカードである。

 試合が決まったと聞き、前世界フェザー級王者ホルへ・リナレスは「こんなのクレイジーだよ」とあきれた。同業のボクサーたちの反応も同様に冷たい。体重差が10kg近くあり、「小柄なパッキアオに勝ち目がない」と見ているからだ。パッキアオのベスト体重はスーパー・フェザー級で、全盛期を過ぎたとはいえデラホーヤ相手では荷が重い。増量で持ち前のスピードとパワーも通用しにくかろう。

 「小よく大を制す」は柔道の理想だが、ボクシングでは「優れたボクサー同士の対戦では」の但し書き付きで、「大は小を制す」という古くからの法則がある。ヘビー級王者ジャック・デンプシーが三色旗の誇りジョルジュ・カルパンチェをKO撃退して以来、過去の名選手対決はほとんどがこの通りの結果に終わっている。

 デラホーヤ自身、'04年にバーナード・ホプキンスとミドル級統一戦に臨んだ際に、初のKO負けを喫している。法則通りなら、今回のデラホーヤは4年前と立場が入れ替わり、パッキアオを制圧することになるのだが……。

 デラホーヤは計量で契約体重を作れなかった場合、1ポンドにつき300万ドル(約3億円!)の罰金を払うという。といっても、今度の試合報酬──パッキアオが15億〜20億円、デラホーヤは昨年のメイウェザー戦で手にした54億円に近い額を当てにしている──を考えれば驚く額ではないし、その前にオスカーの計量失敗の可能性はゼロに近い。

 パッキアオは「ミスマッチにはならない」と強気発言を繰り返しているが、大方の予想は悲観的。それでもこの高い前人気は、どんな展開となるか、好奇心をそそられるファンが多いということか。

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