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日本の泣き所に必要な左のエキスパート。 

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浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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posted2008/05/29 00:00

 今季のJ1で、河野広貴、大竹洋平という10代選手の活躍が、大きな注目を集めている。おおまかに分類すれば、ドリブラーの河野に、パサーの大竹。タイプは異なるが、彼らは「左利き」という点で共通する。

 漠然とした印象ではあるが、左利きにはテクニックに優れた選手が多い。さらに付け加えれば、天才肌でひらめき型。だからだろうか、左利きという限られた人材は、中盤より前の攻撃的なポジションに集まりがちだ。ふたりも、この傾向に合致する。ともに体は小さいが、果敢にゴールを狙う姿勢が頼もしい。

 ただ、若い才能の出現をうれしく思う半面、少々複雑な気分になるのは、そうした人材が、左サイドバックにまで回ってこない現状があるからだ。

 顕著な例が日本代表。都並敏史の離脱で、このポジションの人材不足が指摘された“ドーハの悲劇”から15年が経過した現在、頼みの綱は右サイドが本職の駒野友一、という状態にある。

 Jリーグでもしばしば、満足に左足を使えない選手が、かりそめの左サイドバックとして、ひどく不器用そうにプレーしている姿を見せられる。必ず切り返したり、やたらと中へ入ったり。やはり左サイドバックである以上、縦への突破から、左足で正確なクロスをビシッと蹴ることができないと厳しい。だからこそ、左利きの人材を求めたくなる。

 もちろん、左利きは後天的でも構わない。一昨年度、全国高校選手権で準優勝した作陽に、立川雄大という選手がいた。彼はCKやFKの場面で、実に鋭いボールを左足で蹴っていた。左利きかと思ったが、どうも流れのなかでのボール扱いがそれらしくないので尋ねたら、「中学時代、左利きの先輩に憧れて、左足のキックばかり練習していたら、左足のほうが得意になった」とのことだった。

 未来のある中高生が、華やかなポジションに憧れるのはよく分かる。だが、誰もが河野や大竹である必要はない。とりわけ、左利きの選手には、ぜひ“日本の泣き所”も選択肢に加えてほしい。

 ともすれば、夢のない打算的な話だと思われるかもしれないが、Jリーグ、ひいては日本代表入りへ、最もハードルが低いポジションがどこかを知っておくことは、悪いことではないと思う。

■関連コラム► 駒野友一 「サイドに生きる男の誇り」 ~知られざる足跡~ (2007年4月5日)
► 玉田圭司 「遅れてきたレフティ」 (2004年6月3日)

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