SCORE CARDBACK NUMBER

久々に現れた守備の逸材、
FC東京の米本拓司。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byMasahiro Ura

posted2009/08/10 06:00

久々に現れた守備の逸材、FC東京の米本拓司。<Number Web> photograph by Masahiro Ura

ナビスコ杯準々決勝第1戦の対名古屋でプロ初ゴールを飾った米本。岡田代表監督も注目

 オシム語録を引用すれば、「水を運ぶ人」ということになるのだろう。最近、特に若い世代を見ていて、守備に才を発揮するボランチの選手が、あまり見られなくなったように思う。かつては、服部年宏、戸田和幸、明神智和、今野泰幸など、その手の選手が比較的コンスタントに登場してきたものだ。

 ところが、近ごろでは「自分の仕事はバランスを取ること」などともっともらしい理由をつけ、ただ真ん中に立っているだけの気が利かないボランチが増えた。しかも、それを指導者やマスコミが「バランサー」などと持ち上げてしまうから、なおたちが悪い。確かに、これなら大ケガもしないが、手当もできない。

若き守備職人の武器は高速アプローチ。

 今年のJ1では開幕当初から、原口元気、山田直輝、大迫勇也ら、10代ルーキーの活躍が目立つ。朗報には違いないが、それが攻撃的なポジションに偏っていることには歪みも感じていた。

 このままで大丈夫だろうか。そんなことを思っていたところに、いた。久々に見る、活きのいい守備の職人が。FC東京の18歳、米本拓司である。

 何しろ、ボール奪取の狙い目が抜群にいい。ココと狙いをつけると、どこからともなく相手選手に忍び寄り、激しくボールを奪いに行く。相手選手にしてみれば、パスを受けて顔を上げた瞬間、いるはずのない米本が目の前に立っているのだから、相当に厄介だ。

 本人も「そういう(守備が得意な)選手だから監督も使ってくれるんだと思う」と、自分の武器を理解している。並の選手では届かない位置から、一気に相手選手との距離を縮める高速アプローチは、誰にでも真似のできる芸当ではない。

失敗を恐れない。積極果敢なパスに感じる将来性。

 また、守備だけでなく、攻撃のつなぎ役としても目下成長中である。まだまだ慌てて敵にパスしてしまうことも少なくないが、むしろ今は、無難なパスに逃げないことに好感が持てる。5試合連続ゴールの石川直宏ら、攻撃陣に注目が集まるFC東京にあって、米本が快進撃(18節終了時、5連勝中)を支えるひとりであることは疑いようがない。

 坊主頭に童顔。加えて、176cm63kgという華奢な体格。正直、見た目に頼もしさはない。だが、原口や大迫らと同様、彼もまた、立派な日本の宝である。その希少価値は極めて高い。

■関連コラム► 「支配」か、「コントロール」か。~FC東京好調の要因~ (2009年8月4日)
► 大人から紳士へ。プロ10年目にして覚醒した石川直宏。 (2009年7月29日)

関連キーワード
米本拓司
FC東京

ページトップ