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巨人復権の鍵を握る男、熱い二岡をまた見たい。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byHideki Sugiyama

posted2007/09/20 00:00

巨人復権の鍵を握る男、熱い二岡をまた見たい。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

 高橋由伸がFA宣言をせずに巨人残留を決めた。阿部慎之助は主将として積極的にチームをまとめている。上原浩治は安定度を増し、頼れる守護神に成長した。生え抜き選手の頑張りなくして、巨人復活はありえないと思うのは、巨人OBだけではないだろう。

 そんななかで、入団9年目の生え抜き、二岡智宏が、あまり目立っていないことが気になる。本来、中心選手としてチームを引っ張るべき存在だが、いまひとつ乗り切れていないと感じるのだ。

 8月終了時点で2割9分4厘、17本塁打。得点圏打率は阿部を凌ぐ3割6分2厘と、数字は残している。しかし今シーズンは、3番、5番、6番、7番と打順をたらいまわしにされたり、大事な場面で代打を出されたりと、原辰徳監督から絶対的な信頼を受けているとはいえない。

 9月1日、横浜戦も残念に感じた。相手投手のけん制球が左足に当たり、二岡は大事をとって途中退場したのだが、4位横浜に連敗は許されない一戦。なんとか頑張ってほしかったと思うのは、私だけだろうか。

 かつて江川卓は、肩の状態を聞かれて「自分よりも状態のいい人に投げてもらったほうがいい」と言ったことがある。どんな時でも「自分が投げる」と言い続けた西本聖とは、明らかに考えが違った。二岡も「俺がやる」と闘争心を露にするタイプではないのだろう。ただ、原監督はそのあたりが歯がゆいのかもしれない。

 今年の甲子園を見ていたら、ふと二岡の熱いころを思い出した。'93年、二岡が広陵高2年生の秋、福原忍(現阪神)との二枚看板で投手をやっていたころの話だ。広島県の秋季大会準決勝の応援に向かっていた父親が、交通事故にあってしまう。二岡は試合後、看病のために病院に行き、一睡もしないまま広島商との決勝に臨んだ。そして9回裏のマウンドに立つ。最後のバッターを三球三振に打ち取った時の迫力は、いまだに関係者の語り草になっているほどである。

 あれから14年が経ち、熱中症になりながら指揮を執った中井哲之監督、決勝戦まで戦い抜いた広陵の後輩たちの姿に、二岡は何かを感じただろうか。

 かつて原監督から「史上最高の3番打者になれる」と言われたセンスの持ち主だ。だからこそ、熱い二岡をまた見たい。

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