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小久保の背中を追って。松田宣浩、成長の理由。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2007/10/04 00:00

 メンバーが固定されたチームを活性化するには、新しいスターの存在が必要不可欠だ。ソフトバンクの場合、小久保裕紀が35歳、松中信彦は33歳。川崎宗則、本多雄一という二遊間コンビがいるとはいえ、主軸ではない。そんななか、'05年に希望枠で入団したのが松田宣浩だ。'04年ドラフト1巡目の江川智晃とともに、将来のクリーンアップを任せられる素材として獲得したのである。

 王貞治監督は、1年目の昨季から松田を我慢してサードで使い続けた。しかし、なかなか芽が出ない。そのオフに、巨人から小久保裕紀が加入。今季の出番は激減すると思われた。しかし、「あれだけ遠くに飛ばせるのは珍しい」と首脳陣の期待は続き、キャンプでは秋山幸二コーチに徹底的に鍛え上げられた。居残り特打を課せられ、「あれだけやっても壊れないのは体が大きいから」と、秋山コーチから冗談交じりに誉められるほどの練習に励んだ。

 今シーズン、ひとつのきっかけとなったのは6月23日の中日戦だった。8番ファーストで先発出場し、川上憲伸のカットボールを見事にスタンドに打ち返した。

 「力みのない良いフォームだった。技術的なことより精神的なものが大きかったね」と、秋山コーチは振り返る。ボール球に手を出していた男が、がらりと変わったのはそれからだ。小久保が骨折で戦線離脱した後、サードに定着し、一時は5番を打つなどスタメンをつかみつつある。王監督も、「不器用なヤツは覚えるのに時間がかかるが、一度覚えたら忘れない。自分もそうだったからよくわかる」と、その成長を認めている。

 復帰した小久保は、「チームのためになるなら三塁にはこだわらない。松田を生かすなら一塁でもDHでもやる」と語っている。不振で悩んでいた時、「プロの世界に遠慮はいらん」と食事に誘ってアドバイスしてくれたのが小久保だ。9月17日の日ハム戦、小久保の24号に、松田が6号ソロで続いた時、松田は、「おい、やるな」と小久保に頭を叩かれたのが何よりうれしかったという。

 球場入りは早い。チームの誰よりもバットを振ることを課題としている。昨年、期待はずれに終わった男は、小久保という大きな存在を越えるために、いま戦っている。

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