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専大は八役が奮闘も……。入替戦の悲喜こもごも。 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2009/01/06 00:00

専大は八役が奮闘も……。入替戦の悲喜こもごも。<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

 4年前の冬、1本のタックルが花園を震撼させた。全国高校大会準決勝、天理×大阪工大高の後半ロスタイム。天理CTB八役大治は相手ゴール前のアタックに猛烈なタックルを見舞って落球させ、そのままトライを決めた。

 元木由記雄の再来と呼ばれ、高校日本代表、U19日本代表にも選ばれた期待の星は、しかし翌春には表舞台から消えた。進学したのは関東リーグ戦2部に低迷していた専大。八役は1年からレギュラーポジションを獲得したが、昨季までの3年間は3位、4位、4位。入替戦にも進めないシーズンが続いた。

 12月13日、熊谷。八役は2部2位の専大の副将として、1部7位の拓大との、最初で最後の入替戦に臨んだ。タックルを反復し、密集戦に身体を張り、首を強打してグラウンドに倒れ込んでも立ち上がり、プレーを続けた。しかし結果は12対34。完敗だった。

 「自分自身は足を引っ張ってしまった。でも初めて入替戦まで来られたことは誇りに思います」。赤い目で、八役は言った。

 コーチ不在のシーズンもあった。寮と学校が離れているため、練習時間の確保も難しかった。高校代表で同期だった早大の豊田将万や明大の杉本晃一が1年から国立で活躍した姿は眩しく見えただろう。だが八役は「専大に来て正解だった」と言った。

 「いい監督や仲間に巡り会えたし、今年は初めてチームがひとつになれた。ラグビーの『たのシンドい』をたくさん経験できましたから」

 同じ日、熊谷には大東大の姿もあった。リーグ戦で7戦全敗。31年ぶりの入替戦という屈辱を嘗めたが、「ここで負けたらお前らのことは一生忘れないぞ、と選手に言いました」(シナリ・ラトゥ監督)という脅迫(?)が実ってか、立正大を30対5と圧倒して残留。「最後にやっと自分たちの力が出せた。早明戦の明治と同じ。力はあるんだけど、追い込まれないと出せないんだよな」。ラトゥ監督の声には安堵と無念さが同居していた。

 彼らには不運も誤算もあっただろう。だがトップリーグでは、学生時代に日の当たらなかった選手の方が逞しく活躍していることは周知の事実だ。

 来季も大東大、専大、そしてトヨタに進む八役の歩みに注目していきたい。

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