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ただいま上り調子の“キモ強”北岡悟。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2008/12/04 00:00

ただいま上り調子の“キモ強”北岡悟。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

 強さにもいろいろな種類があることを思い知らされた。11月1日の戦極ライト級GPを制した北岡悟のキャッチコピーは“キモ強”。キモくて(気持ち悪くて)強い、あるいはキモいのに強いの略である。あくまで二枚目として世に出たい本人は気に入っていない様子だが、憧れの大先輩・鈴木みのるを彷彿させる鬼の形相を浮かべながらの入場シーンや試合後の自己陶酔に浸る恍惚の表情を目の当たりにしたら、誰もが納得してしまうだろう。感情露出が過度なのだ。そうした表情や動きのひとつひとつが、キモく映るらしい。それに加え、マイクアピールも滑ることが多かったから、北岡のキモ度数は上がる一方だった。

 パフォーマンスだけが目立っていたら、単なる色モノで終わってしまう。しかしながら北岡の実力は折り紙付きだ。昨年は明らかに格上のブラジリアンファイターを連破。今年に入って主戦場をパンクラスから戦極に移しても快進撃は続き、得意の関節技で秒殺の山を築いた。その評価を決定的にしたのは戦極ライト級GPだ。準決勝ではヨアキム・ハンセンを下したことで知られる実力者・光岡映二をヒールホールドで秒殺。その勢いは決勝になっても衰えず、GRABAKAの横田一則からタイミングのいいタックルで再三テイクダウンを奪って文句なしの判定勝ち。来年1月4日の大会で五味隆典と戦極初代ライト級王座を争う権利を得た。

 身長168cmと70kg級では小柄な部類に入る。リーチも長くない。おまけにデビュー当初は引き分けが多く、インパクトに欠ける選手だった。北岡も「デビューしていいと言われた時、こんなに弱い奴がデビューしていいのかと思った」と振り返る。なかなか強くなるきっかけを掴めない男を変身させたのはDREAMで活躍中の青木真也だった。出稽古先で独自の発想のもと次々に新たな動きや技を生み出す青木に刺激を受け、北岡の寝技やタックルの技術は飛躍的に成長したのだ。一度負けたら、自己全否定に走るほど負けず嫌いなところもプラスに作用した。GPを制したことで、北岡にブーイングを飛ばす観客も少なくなった。どんなにキモくても、それを凌駕するほどの突き抜ける強さを持っていたら、誰だって認めざるをえない。

■関連コラム► 戦極とDREAM、2大メジャーが選んだ道とは。 (2009年5月11日)
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