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「外様」向井監督は、九州を再生できるのか。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2004/09/22 00:00

「外様」向井監督は、九州を再生できるのか。<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 福岡市中央区渡辺通。日曜日のビジネス街に人気は少なかったが、そのビルの地下2階の部屋には熱い空気が充満していた。壇上で語っていたのは九州代表の永田隆憲、九州電力の神田識二朗、サニックスの宮浦成敏、そして今季、コカコーラウエストジャパンに着任した向井昭吾の4監督。そこで行われていたのは『再生!! 九州ラグビー』と題したパネルディスカッション。白熱する激論を熱く聞いていたのは、九州で活動する高校・大学・社会人の指導者たち。サニックスが昨季限りで陥落し、トップリーグの空白地帯と化した九州に、かつての栄光を取り戻す契機にと企画されたのだった。

 議論の主役は向井前日本代表監督だった。氏は会の冒頭「こっちに来て、いろんな方に『九州ってどういうところなの?』と聞いたんですが……」と発言。地域性と気質を把握する作業の一端を自ら紹介したのだが、室内には一瞬「え?」の空気が漂った。

 向井氏は愛媛・新田高から東海大に進んだが、九州のトップチームに九州人以外の外様監督が着任するのは極めて異例だ。それは選手も同じで、ラグビー、ビジネス両面で地域トップ企業の九電など選手40人のうち、日新製鋼の廃部で4年前に移籍してきた39歳のベテラン平野勉と外国人を除く全員が九州人。向井氏が着任したコカコーラWJもほぼ同じ状態だ。地域密着の意味では素晴らしいが……。先の向井氏の質問に返ってきた答えは「食べ物が旨い」「人が優しい」「祭りが多い」だったという。だが快適すぎる環境は、往々にして活力を奪う危険性も孕む。

 「私らの頃はいろんな土地から人が来てましたよ」と話したのは、八幡製鉄全盛期の名選手だった土屋俊明・九州協会会長だ。当時の八幡には道産子の宮井国夫、東京育ちの北島治彦ら九州以外からやってきた実力選手がいた。新日鉄釜石も福岡の森重隆、東京の松尾雄治という異端児なくしてV7はなかった。

 それだけに、外様の向井氏には九州再生の起爆剤になれる可能性を感じる。この日の議論では「春シーズンに九州トップのリーグ戦を」「関西や韓国も巻き込んだリーグ戦を」など積極的な提案を連発。現場では頑固にスパルタを貫き、一部の選手とは一触即発の状態とか……。これまでの九州になかった発想と自信が、九州にどんな風を吹かせるか。

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