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地元密着で上を目指す。秋田で見たクラブの形。 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2006/08/17 00:00

地元密着で上を目指す。秋田で見たクラブの形。<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

 地域密着の度合いにはいろいろな尺度があろうが「地元出身者率」でいえばこれは驚異の高さだ。ラグビートップリーグの下に位置するトップイーストに今季から参戦する秋田ノーザンブレッツ(NB)は、今季の登録選手53人のうち51人が秋田市やその周辺の出身者。残る2人も、1人は埼玉から秋田大医学部に進み、在学中に関東代表セレクションに呼ばれた経験を持つ30歳の医師と、秋田市教育委員会嘱託でスポーツ国際交流に従事するNZ人選手だ。

 NBは'04年、全国社会人大会出場8回の名門・秋田市役所を母体に設立。同じ東北では新日鐵釜石から生まれ変わった釜石シーウェイブスが先輩だが「釜石は会社の決定でクラブ化したけど、我々の場合は内発的。秋田にはラグビー仲間がいっぱいいるし、市長にお願いして市役所の名前を外してもらったんです」とNBの新出康史監督。全国高校ラグビー最多15回の優勝を誇る秋田工を擁し、吉田義人や桜庭吉彦ら多くの日本代表を輩出してきたラグビー王国だ。地元に残ったりUターンした秋田っ子が自由に参加できるクラブという理念のもと、選手の過半は建設会社や教員など市役所以外の職場から参加。'98年度秋工主将のNO8児玉和也副将ら3人の高校代表経験者は、それぞれ違う職場から練習に駆けつける。

 目前のノルマは来年の秋田国体優勝だが、大目標はトップリーグ昇格だ。クラブ化元年の'04年度には早くも、入れ替え戦出場をかけたプレーオフ初戦でイースト3位のNTT東日本に快勝……もっとも2年目の昨季は同じNTTに0対55で大敗。イースト参戦を控えた7月23日、釜石とのオープン戦にも5対55と粉砕された。釜石の9トライ中4つを稼いだNO8フィフィタのように、イーストの各チームはどこも核弾頭たる複数の外国人選手を抱える。予算も練習時間も限られた市民クラブの前途は険しいが「チームが成長するには高いレベルでやらないと」(新出監督)と決意しての参入だ。

 頂点を争うトップリーグは14チームに拡大。前回W杯で日本を率いた向井昭吾監督のコカ・コーラウエストが昇格し、サントリーには清宮克幸・前早大監督が就任。昨季3冠の東芝は薫田真広監督が留任……名将相まみえる注目のシーズン、北のハートランドから新しい風が吹く。

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