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P5Nで見た選手の奮起。だが喜んでばかりは……。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2006/07/24 00:00

P5Nで見た選手の奮起。だが喜んでばかりは……。<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 夜空に手拍子が響いた。7月1日の大阪・長居。7点を追う日本代表はなりふり構わぬ14人モールでフィジーのゴールに迫る。記録的大敗を続けてきたジャパンが、久々に演じたタフな戦いに、スタジアムは熱くなった。

 だが、奮闘は報われなかった。ロスタイムが8分を過ぎ、万策尽きた日本がモールから出したボールを奪われ、90mを切り返されるダメ押しトライを許す。火花散るタックルでいくらターンオーバーしても攻め手がない。激戦ではあったが、中身はスコア以上の完敗だった。

 太平洋5カ国対抗(P5N)は4戦全敗、勝ち点ゼロの最下位。だが、試合後の指揮官は上機嫌だった。「今日の目標は達成した。だから私は微笑んでいられる。ここにいるキャプテンも同じだと思う」。隣に座る大野均主将に笑みはなかった。

 エリサルドは3日の総括会見でも「春は8割の選手が期待に応えてくれたが、2割は全く応えてくれなかった」と言い放ち、選んだ側のミスはと問うと「間違うこともある」とトボけた。だが昨秋の就任以来日本国内の試合をほとんど見ず「ビデオを送ってもらい、スタッフに情報をもらえば十分」と見得を切ったのはエリサルド自身だ。さらに今秋の国内試合視察も、開幕1カ月後の9月末に再来日しての3節のみ。「それ以上増やすつもりはないし、それが問題とも思わない」

 日本選手の能力が期待外れだったのは本音なのだろう。代表監督の経験もないのに就任を要請されたのは気の毒でもある。だが大敗を続け、なお留任できたなら、次こそ血眼になって己のイメージにあう選手を探すのが代表監督なのでは……我々は彼の何を信じればいいのだろう。

 '07年W杯で2勝という目標も「変わりません。私は嘘をつきません……ただし、よく間違いは犯します」。やれやれ、すでに言い訳も用意しているとは。

 ジュニアオールブラックス戦。フィジー戦。タックルに体を張り続けたジャパン戦士の奮闘は心を打った。だが選手の危機感が実現した善戦を監督の功績と解していいのか。その末に145という惨劇が待っていた歴史を忘れていないか。

 W杯の真剣勝負に敗れた後で、「体格差がありすぎた」「海外での経験不足」なんて前提のセリフはもう聞きたくない。

 フットボール党共通の思いのはずだ。

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