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しなやかな豪腕、巽真悟はジンクスを打ち破れるか。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2009/01/16 00:00

 かつて「五輪イヤーのドラフトは有望選手が多い」と言われていたものだ。しかし今や五輪代表もプロ主体になってしまい、この格言は過去のものになりつつある。そんな中、ソフトバンクが外れ1位で指名した近畿大・巽真悟は各球団の評価が例外的に高い逸材である。

 ドラフト会議前「希望球団はない」と表明しながらも、岸孝之ら細身の投手が活躍している西武ライオンズに、密かに憧れていたと言う。ところがドラフト会議後、大学の2年先輩にあたる大隣憲司(ソフトバンク)から電話をもらうと感激し、すぐに入団の意志を固めている。

 ソフトバンクには甲藤啓介を含め近大出身がふたりいるため心強いが、縦社会の野球界では一生頭が上がらないのでは、という不安もあった。しかし「下克上もある」と言われて勇気がでたと打ち明けるのだから、なかなか気骨を感じさせる。

 巽の野球人生を知る上で、少年時代の思い出を挙げないわけにはいかない。生まれは和歌山県古座川町。ここで開かれた少年野球教室に星野伸之(現・阪神二軍コーチ)と薮恵壹(現・サンフランシスコ・ジャイアンツ)が訪れたのである。

 薮からストレートの投げ方を教わった途端、スピンの効いた球がすぐに投げられるようになったという。サッカーをするか野球を続けるか悩んでいたが、これで決心がついたのだった。

 その後、新宮高に進学。2年時から本格的に試合で投げ始めたということを考えれば、肩も使い減りしていない。

 大学時代には甲藤、大隣がいたこともあり、ようやく2年春に頭角を現す。6度の先発で無傷の5勝。3年春には京大戦で9者連続三振を含む23奪三振のリーグ記録を達成。同志社戦ではリーグ25人目のノーヒットノーランを記録するなど順調に成績を残したが、4年時に大学日本代表入りを果たした後、全盛時の勢いに比べややかげりが見られる。

 「大学3年時の躍動感のあるフォームを取り戻せば、必ず投手陣の柱になることができる」と語る永山勝スカウト。故障明けの斉藤和巳に不安があるだけに、秋山新監督としては即戦力の呼び声高い右腕に期待したいところだ。

 「近大のドラフト1位は大成しない」という外野の声を消し去ることができるか。巽真悟のルーキーイヤーに注目である。

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