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U20世界選手権に挑む
無印・小野寺に期待。
~日本ラグビーを担う無名校選手~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2009/06/03 06:00

「磯原って何県の高校?」

「えーと……」

 U20日本代表の合宿を取材していた記者団の会話である。6月5日に開幕するU20ラグビー世界選手権。日本代表選手の出身校には大阪工大、伏見工、東海大仰星、東福岡など、高校ラグビーの歴史を彩ってきた名門・強豪の名が並ぶ中、異彩を放つのがFL小野寺優太(流経大2年)の出身校、磯原だ。茨城県北茨城市にある県立高で、昭和40年代には4度の花園出場を数えるが、今は……。

「高3の春は部員が足りなくて、他校との合同チームで大会に出てました。秋は人数が揃って花園予選に出られたけど、他の合同チームに1勝しただけ。僕らの卒業後はまた部員不足で合同チームになりました」(小野寺)という弱小校だ。

弱小校出身者が掴んだU20日本代表の座。

 しかし、そんな環境から巣立った小野寺が、3月のウエールズ遠征ではU20ジャパンの核弾頭として攻守に大暴れ。ツアーのMVPにまで指名されたのである。

「外国人とも真っ向勝負できる身体の強さとサイズがある。両足の太腿にタックルくらって、足に力が入らなくなっても、トレーナーに頼み込んでプレーを続けたくらいハートも強い。まだ経験値は低いけど、キン(大野均=東芝/日本代表LO)みたいに大きく育つ可能性を秘めています」(薫田真広監督)

「外国人相手にパンチのあるプレーをできるのが凄い。まだ荒削りだけど、その分吸収も早いし、チームのムードメーカーにもなっている」(元木由記雄コーチ)

 ちなみに、外国人に臆せず立ち向かう秘訣は、「ディフェンスを見ると足が止まっちゃうんで、ボールと味方しか見ない(笑)。そうすると怖くないんです」。

小野寺の“鈍感力”はすでに世界レベル!?

 U20には、すでに大学ラグビーの主役と呼べるHO有田隆平(早大)、CTB仲宗根健太(慶大)、SH滑川剛人(帝京大)や、一昨季、東福岡を花園初優勝に導いたFL山下昂大(早大)、WTB正海智大(同大)、竹下祥平(法大)ら精鋭が並ぶ。とはいえ、試合出場機会の少ない大学1~2年生が多数だ。対して相手国はトップクラブに在籍するプロ選手がほとんど。厳しい戦いになるのは明白だが……。

「世界大会って言われてもピンと来ない。相手が国名ってのもヘンな感じ」

 そう笑った小野寺の無邪気な声は、かえって頼もしく聞こえた。

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