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F1デビュー2戦目で開花。
小林可夢偉の本物度。
~その“走り”を徹底検証する!~ 

text by

今宮雅子

今宮雅子Masako Imamiya

PROFILE

photograph byMamoru Atsuta

posted2009/11/20 06:00

F1デビュー2戦目で開花。小林可夢偉の本物度。~その“走り”を徹底検証する!~<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta

18人目の日本人ドライバーとなる小林は、尼崎市出身の23歳

 “強い”という表現は、いかなるスポーツにおいても至上の称賛であるはずだ。デビュー2戦目、最高峰の舞台でそんな言葉を勝ち取ってしまったスポーツ選手は多くはない。

 トヨタがF1撤退を発表する直前、11月1日のアブダビGP。'09年最後のレースで小林可夢偉が6位入賞を果たした瞬間には、百戦錬磨のジャーナリストたちも拍手を贈った。天性の速さと賢明な攻撃性、ライバルと並んでコーナーに進入していくときの威厳。すべてを集約して、各国のテレビは「強いコバヤシ」を連呼していた。

ブラジルGP9位でも、可夢偉は「遅い」とつぶやいた。

 '08年以来、GP2選手権を戦いながらトヨタF1の控えドライバーを務めてきた小林がチャンスを手にしたのは第16戦ブラジルGP。日本GPで負傷したティモ・グロックに代わって初めてのレースに挑むことになった。雨の予選11位。決勝レースでは9位。タイトルを決めたジェンソン・バトンと互角の勝負を展開し、ブラジルの地元紙では「チャンピオンに輝いたバトン、勝利したマーク・ウェバーと同様にすばらしい」と大きく報道され、英国のウェブサイトではファン投票によってベストドライバーに選ばれた。

 シーズン中のテストが禁止された'09年、“中途採用”のドライバー全員がぶっつけ本番の壁を破れない厳しい状況の中で、ダークホースだった小林が正規ドライバーに匹敵するドライビングを披露したのだから誰もがうれしくてたまらない。

 だが、レース後の彼は「遅い……」とつぶやいていた。F1タイヤの性能を生かしきれなかった理由がわからない。アブダビまでの実質1週間、自らのドライビングとタイヤ性能の関係を分析するため、彼はほとんどの時間をケルンのファクトリーで過ごしていた。ヤス・マリーナサーキットで走り始めてからも、思考は“タイヤを上手く使って305kmを走り切る”ことだけに占められていた。その結果が予選12位。

「明日は自信があります」

 無数の方程式を解く鍵をつかんで、土曜夜には少し表情が晴れた。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  類い希なる集中力が1ストップ作戦を成功に導いた。

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