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早稲田「最強」FWは日本選手権でどこまで通用する? 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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posted2005/02/03 00:00

 花園の全国高校ラグビーで4連覇を飾った大阪・啓光学園の主将、上田一貴は今春、早大に進学する。

 昨季、V3を達成したときのキャプテンだった有田幸平は、現在早大1年だ。1年置いて、V1の佐々木隆道は早大3年。来季は早大でも主将を務めることが決まっている。つまり啓光4連覇のキャプテン4人のうち、3人が早大に揃うのだ。

 ラグビー大学選手権に2年ぶり12回目の優勝を飾った早大。その強さを支える最大の要素はずば抜けた人材獲得力だ。全国から選りすぐられた素材は、芝のグラウンドに体育館、データを管理するコンピュータと直結したウェートトレーニング施設の揃った上井草グラウンドに集い、恵まれた環境でラグビーに打ち込む。しかもチームを率いる清宮克幸監督は、サントリーのスポーツフェロー部門という業務でフルタイムの指導に専念している。

 強さはシーズンを通じて際立っていた。昨季、大学選手権決勝で敗れた関東学院大には春のオープン戦で52対21と圧勝。9月には、イラクで凶弾を受け亡くなった奥克彦大使の追悼試合でオックスフォード大を25対9と撃破。関東対抗戦では1試合平均得点が70点に上った。

 大学選手権では関東学院大と4年連続で決勝対決。関東は前半、早大の16次に及んだ連続攻撃に対し、3年生でキャプテンを担った有賀剛が1人で5度もタックルを決めるなど鬼神の働きで食い下がる。しかし今季の赤黒は動じなかった。どれだけ止められてもFWがボールの支配権を失わない。BKにミスが出ても速やかに戻り、FWプレーでトライまで取り返してみせる。決勝を戦い終えた清宮監督は「今年は理想的なFWだったかもしれません」と讃えた。

 体重120?のプロップ伊藤雄大のスクラムは学生最強。FLの古島直は密集の仕事に、松本允は研ぎ澄まされた嗅覚で得点機に、ともに激しく体を張る。桑江崇行と内橋徹の両ロックは一浪して入学した苦労人。ラインアウトに密集に地味な仕事を遂行しながら、隙あらばトライも狙う。左プロップの諸岡省吾主将は「今年のFWは、一人一人が自分の役割を理解して自覚を持っているんです」と胸を張った。

 極め付きは12月の早明戦に勝ったときだ。「ワセダ史上最強のFWかな?」と聞かれた桑江は言った。

 「アタックもディフェンスもできるという意味で、僕らは大学史上最強のFWだと思っています」

 ここまで来ると、次の興味は「社会人に勝てるのか」という大命題に向かう。昨季の日本選手権では、地域リーグから勝ち上がったコカ・コーラウエストジャパンを32対29で撃破。トップリーグ5位ワールドには16対26で敗れている。

 今季の早大はたびたび東芝府中に出向き、胸を借りてきた。その感触から清宮監督は「東芝は確かに強い。だけどトップリーグにはワセダと変わらないレベルのチームもある。戦う以上自信はいつだってありますよ」と微妙な言い方をした。

 今季の日本選手権は8チームによる変則トーナメントで行われる。大学王者の早大は1回戦で全国クラブ王者と対戦。ここを無事突破すれば、2回戦でトップリーグ勢への挑戦だ。対戦相手は2月6日のマイクロソフト杯決勝後に決まるが、ヤマハ、NEC、トヨタのいずれかだ。劣勢は否めないが、「学生史上最強」を名乗る以上、簡単に負けるわけにはいかないはず。レフリングも含め、大学vs.社会人の本当の距離を測る、有益な戦いを見せてほしい。

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