Sports Graphic NumberBACK NUMBER

<クロスカントリー世界選手権へ> 石田正子 「勝利への信念と探究心」 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byShino Seki

posted2011/02/21 06:00

<クロスカントリー世界選手権へ> 石田正子 「勝利への信念と探究心」<Number Web> photograph by Shino Seki
バンクーバー五輪ではアジア最高位となる5位入賞を果たした石田正子。
苦境のなかでも確実に成績を残してきた彼女が持つ強さの秘密、そして
世界選手権を前に勝利に賭ける想いとは。

 終盤、9位から5位へと進出する驚異的な粘り腰と追い上げに、観客席からは歓声が沸き、場内のアナウンスが、「素晴らしい走りです」と、彼女の名前をあげて称えた。

 石田正子は、昨年の2月、バンクーバー五輪の30kmクラシカルで5位入賞を果たした。長年、世界の厚い壁に阻まれてきた日本クロスカントリー史上最高の成績であった。

 あれから1年近くが過ぎた。

 今シーズンも、苦手としてきたフリーで自己最高位をマークするなど、一定の結果を出して残りのシーズンを迎えようとしている石田は、さらに大きな期待を寄せられる存在である。

 '07年の札幌世界選手権30kmクラシカル13位、'09年のチェコ・リベレツでの世界選手権10kmクラシカル8位、ノルウェー・トロンハイムで行なわれたワールドカップ30kmクラシカルの3位、そしてバンクーバー五輪と、常に日本人最高位を塗り替えてきた経歴。

 その結果として、「石田は絶対に失敗しない」と周囲が確信をもって語るほど、高い信頼を得ている。

「ここまで来られた原動力ですか? 中学のときの全国大会、インターハイ、全日本選手権、ワールドカップとステップアップするごとに、世界が広がっていきました。ここまで来たんだからもう少し新しい世界を見てみたいというような……ひとことで言えば、好奇心だと思います」

「アスリートの象徴」――そう言うしかない雰囲気を持った選手。

 石田は、20年以上におよぶクロスカントリー人生をこう振り返る。

 もともとは、競技に向かないような性格であったのかもしれない。

 こんな話を聞いた。

「小学生のときから、マラソンもクロスカントリーも速かった。でも、性格なのか、2人ひと組でやらせると、絶対に相手を抜かずに走っていたのが今も記憶に残っています」

 北海道の上美幌小学校5、6年時に担任だった竹林信二は言う。

「今もその優しさは変わらないですね。全然人柄は変わっていない」

 変わらぬ一方で、年輪を重ねる中で学びながら、今日にたどり着いた。

 石田の選手としての魅力を、日本ナショナルチームのヘッドコーチを務め、石田の所属するJR北海道のコーチでもある岡本英男は、こう答える。

「ひとことで表現するなら、これぞアスリート。アスリートの象徴。うまく説明しづらいのですが、そう言うしかない雰囲気を持った選手です。ファイターというか、目標へまっすぐに向かっていき、結果を出してしまう。これまで、いい成績をあげているアスリートの人たちを見てきたうえで、そう思います。ファイターとは言いましたが、周りを気遣える選手でもあります」

 続けて、言った。

【次ページ】 世界でもトップクラスの「強い気持ち」。

<< BACK 1 2 NEXT >>
1/2ページ
関連キーワード
石田正子

ページトップ