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中継ぎの盟友・須田幸太が戦力外。
DeNA田中健二朗は無念を背負う。 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byKyodo News

posted2018/11/14 07:00

中継ぎの盟友・須田幸太が戦力外。DeNA田中健二朗は無念を背負う。<Number Web> photograph by Kyodo News

9月16日の阪神戦では藤浪晋太郎に満塁弾を浴びた。2008年入団の投手陣最古参の復活が待たれる。

須田について問うと……。

 現在田中は、若手選手を中心とした奄美大島で行われている秋季キャンプではなく、二軍施設のある横須賀で黙々と汗を流している。手応えや調子を尋ねると、その表情は思いのほか明るいものだった。

「今はピッチングをしていても自分の思い通りのボールが投げられています。また一昨年、昨年にはなかった球の強さも出てきている。これを継続しつつ、あとはカーブ、フォークを磨いていけば勝負できると思います」

 そして最後の質問をすると、田中の表情に若干の影が浮かぶ――今季をもって戦力外通告を受けた須田幸太について。

 田中と須田は、ともに若いときから苦楽をともにしてきたこともあり非常に仲がいい。とくにDeNAが初めてCS進出を決めた2016年シーズン、ふたりは中継ぎの中心として「アイツがやられたら、オレがやり返す」と互いに意識し合う盟友だった。

「まだ、やれるだろうって思っていました」

須田さんの度胸、欲しいです。

 田中の口調は、まるで自分を語るようだ。

「けど、こうなった以上変えられるわけではない。いつになるかも、どういう形になるかもわかりませんが、須田さんとはいつか野球を通じて、また一緒にやっていきたいですね」

“便利屋”を自負していた年長の須田から学び、受け継ぎたいことは何かあるか。

「うーん。あの人、3-2のカウントから、ど真ん中放ったりするじゃないですか(笑)。度胸というか肝っ玉というか、そういったところは自分にも欲しいですね。あと、常に自分のペースを崩さず淡々としている。自分にはない部分なので見習いたい」

 年齢も役割もさほど変わらない須田がチームを離れることが、すなわち田中に危機感を与えたのは想像に難くない。まさに来シーズンは背水の陣となる。

「やるしかないし、できなかったらそこでおしまい。けど、こんなもんじゃないって心の中では常に思っているんで、終わるわけにはいかない。もう一度、日本シリーズのマウンドに立って、やり返さないと」

【次ページ】 もうひと花咲かす、ですね。

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