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投手・大谷翔平がもうすぐ復帰?
復帰時期と故障騒動の真相。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2018/08/25 08:00
打者としての8月の成績は打率.318、4本塁打(8月22日現在)。二刀流としての活躍も間近か?
大谷自身はかなり早めから強気だった。
はてさて。
今回の故障騒動。大谷の右肘は本当にトミー・ジョン手術も視野に入るような深刻なものだったのだろうか。
6月7日。グレード2の右肘靱帯損傷と診断され、即日「PRP(多血小板血しょう)注射」を受けた。投球禁止は6週間にも及んだ。
だが、である。
大谷は打者として7月3日に先行復帰。その翌日、二刀流として投げられないもどかしさを問うと、驚くべき言葉を残したのだった。
「メドも立っています。前に進んでいる感じはあります。そこまではモヤモヤしていないと思います」
まだ、投球再開まで16日も残っている時点での言葉だった。なのに彼は「メドも立っている」と言った。それどころか、8月に入り投手としての調整が順調に進み出すと、更に具体的な言葉が飛び出すようになった。
「(PRP注射を受けた)あの状態でも投げられていたとは思うので、まぁ、大事をとってという感じだったと思う」
「PRP(注射を)やる前も、もう次の登板も投げるぐらいの気持ちだった」
また、米メディアには「そもそも痛みを感じたこともない」とも言った。
どれも彼の本音だった。
大谷本人と医療スタッフのギャップ。
大谷にとっては想定外だったグレード2の右肘靭帯損傷の診断結果。彼の気持ちは“自分としては大丈夫。最悪でもローテーションを1回飛ばしてもらえば問題はない”であった。
選手自身と球団医療スタッフの意見の食い違いは何も珍しいことではない。過去にも日本人メジャーリーガーに似たような事例はあった。
2008年5月。当時レッドソックスに在籍していた松坂大輔は、右肩に多少の変調を感じた。だが、彼も“ローテーションを1回飛ばしてもらえば大丈夫”くらいの気持ちで球団に報告した。
ところが、球団は一大事とばかりに即刻故障者リストに入れた。松坂の場合、24日間で戦列復帰を果たしたが、投球禁止の間に緩んでしまった右肩周りの状態を元に戻すのに苦労を強いられた。