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プロクライマー・大場美和が古典文学から描いた理想の自分像。

posted2018/06/20 16:00

 
プロクライマー・大場美和が古典文学から描いた理想の自分像。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

  近年、飛躍的に競技人口が増加しているスポーツクライミング。様々な場所にクライミングジムもでき、子供から高齢者まで趣味やエクササイズとしても楽しめる身近な存在になりつつある。また、2020年の東京オリンピックの正式種目に採用され、今後さらに注目が集まりそうだ。

  13歳で2011年JFAユース選手権女子リード種目を優勝するなど、ユース年代から国内外で数々の実績を残すプロクライマーの大場美和。'15年、高い壁をスイスイとよじ登って行くCMで話題となり、一躍時の人となった。彼女はなぜ壁を登り続けるのか――。11年間競技と向き合ってきた時間のなかで見つけたこだわりとクライミングへの愛情を語る。

 クライミングを知ったのは9歳の頃です。父が読んでいた雑誌に掲載されていた1枚の写真がきっかけでした。写真の中にいる女性は天井のようなところを登っていたんですが、私はそれを見て、「すごいな。こんなことができるんだ」と感銘を受けて。本当にその姿がすごくカッコよかったんです。今は、私が写真を見てそう感じたように、逆に私が壁をよじ登っている姿や写真を見て、「この人、カッコいいな」と思ってもらえるような、1枚の写真で魅せられるような人になりたいと思っています。

 一番心が躍るのは、やはり壁を登っているときですね。一度課題を見たら、どう登っていけばいいのか迷わずにすぐ分かることもあれば、難しくセッティングされているルートもあって見ただけでは分からないこともあります。そういう時は実際に壁を登ってみて「あ、こうだったんだな」とまず確かめる。次のトライまで少し腕を休めている間に、頭の中でプランを修正して再び壁に挑むんです。

 ときには次のホールド(突起物)まで豪快にジャンプをして飛びつくこともあります。でも、怖くはないですね。岩を登るときなんかは、危ないなと感じる瞬間もありますが、特に室内に作られた課題であればまったく怖さはありません。

個人競技一筋で得た精神力の強さ。

 クライミングは握る力が重要だという印象が強いと思いますが、ホールドに指をひっかけて登っていくので、どちらかといえば握る力よりもホールドを掴む力(保持力)のほうが強いかもしれません。垂直な壁であれば、5ミリほどのホールドでも掴めるくらいです。スマートフォンの薄さくらいでも登ることはできますね。

 常に指を曲げているので、長くクライミングをしている人は指が曲がったままで伸びなくなることもあるんですよ。しかも、指の皮が削れてくるので、どんどん皮膚が硬くなってきます。それを予防するために、私は子供の頃から練習後はすぐに保冷パックに指を挟んで冷やしていました。

 クライミングが日常生活に役立つことは少ないかもしれません。指の力が強いからペットボトルが開けやすい、というくらいで(笑)。私は幼い頃に器械体操を行なっていたのですが、これまで個人競技一筋。仲間と一緒に頑張っている団体競技の方たちを見ていて羨ましいなと思うことはありましたが、逆に個人競技を続けてきたからこそ、精神面においては強くなれたのではないかなと感じています。

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大場美和

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