イチ流に触れてBACK NUMBER
「球団会長付き特別補佐」として――。
イチローの“ルーティン”は試合後に。
posted2018/05/08 11:40
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
球団会長付き特別補佐。
イチローの肩書きはフロント・スタッフへと変わった。新しい役回りは、常にチームに帯同しながら、選手たちにアドバイスを送る、というもの。
だが、今も球場に来れば、背番号51を付けたイチローのユニフォーム姿を見ることは出来る。
そのときは、マリナーズ勝利の瞬間である。
ベンチから颯爽と飛び出し、マウンドプレートに右足を置き、投球動作に入るかのような仕草をしてから、笑顔でナインを迎え入れる。これがルーティンになっている。
「ゲーム終わってるから大丈夫」
だが、そもそもである。
今季に限ってはフロントの人間であり、現役選手ではない。なのに、ユニフォーム姿でファンの前にお目見えすることは許されるのか? イチローに聞いてみた。
「ゲーム中はダメだけど、ゲーム終わっているから大丈夫」
規則は確認済みだった。
なんと、大らかなことか。
こんな時だけはアメリカの“適当さ”が心地良く感じる。
衝撃的な知らせが駆け巡ったのは日本時間の5月3日、午後11時ごろ。共同通信社からの配信だった。
『米大リーグで歴代21位の通算3089安打を放ったマリナーズのイチロー外野手(44)=本名・鈴木一朗=が球団の特別アドバイザーに就任し、選手としては今季の残り試合に出場しないことが3日、複数の球団関係者の話で分かった』
米国西時間では3日午前7時のことだった。