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武藤嘉紀の言葉が、面白くなった。
「耐えて耐えて……ヒーローにね」

posted2018/02/19 10:30

 
武藤嘉紀の言葉が、面白くなった。「耐えて耐えて……ヒーローにね」<Number Web> photograph by Getty Images

今季ブンデスでは22節終了時で6ゴール。低空飛行が続くチームにあって、武藤は着実に結果を残している。

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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 武藤嘉紀の話す言葉の意味合いが変わってきたな。

 こう感じられるようになったのは昨年の終わり頃だろうか。

 今年の元日、ドイツへと戻る空港の前で武藤は変化の理由をこう語った。

「やっぱり、11月のヨーロッパでの代表戦に呼ばれなかったとき。あのタイミングで、ある意味『試合に出ている、出ていない、ではないんだぞ!』と切り替えた。とにかく自分自身を高めないと、と思ったし。そこに集中できるようになりました。

 あとは誰が見ても、納得せざるを得ない、自分を使わざるを得ないくらい結果を出さないといけない。それだけですよね。(W杯まで半年のタイミングで)1回、大きな怪我をしたら終わりだから、緊張感もありますけど」

 試合で1分でも長くプレーしたい。所属クラブだけではなく、代表でも活躍したいと考えるのはどの選手も同じだ。

 しかし、その判断は監督がくだすもの。選手として起用に意見をはさむ余地はない。だからこそ、選手は集中すべきことがある。自分のパフォーマンスをひたすら高めることだ。武藤は今、そこに集中している。

'18年早々に2試合3ゴールの活躍。

 だからだろう。2018年の武藤は良いスタートを切っている。

 今年の初戦となった第18節ハノーファー戦では、ペナルティエリア内でボールを受けると、シンプルなフェイントで相手DFのタイミングを外してゴールを決めた。続くシュツットガルト戦ではミドルシュートとクロスへの飛び込みから2ゴールを奪った。

 とりわけハノーファー戦のゴールは、落ち着きがなければ決められないものだった。そこにはメンタル面での進化の跡が見られた。

「あのときは、ゴールしか考えていなかったです。新しい選手が入ってきたことで、ゴールを決めなきゃいけないという意識も強くなり、ゴールに集中する助けになりましたから。あとは2トップになって、守備のタスクが減った。横に動く距離が短くなったし、前にいられる時間が長くなったのもあるかな」

【次ページ】 ケインの上手さに参考になる部分が。

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