オリンピックへの道BACK NUMBER
羽生結弦、連覇と止まらぬ涙の真実。
「良くない右足に、感謝しかない」
posted2018/02/17 19:20
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Tsutomu Kishimoto/JMPA
2月17日、羽生結弦は歴史的な偉業を達成した。
6分間練習のために姿を現した瞬間から拍手と歓声が起こる。曲は『SEIMEI』。演技がスタートした。
冒頭に予定するのは4回転サルコウ。6分間練習ではしりもちをつくなどしたが、試合ではクリーンに着氷する。4回転トウループ、トリプルフリップも成功。
長いブランクから懸念されていたのはスタミナだった。だがそれが杞憂であるかのように、後半最初のジャンプ、4回転サルコウ+トリプルトウループをきれいに決める。
続く4回転トウループ-シングルループ-トリプルサルコウのコンビネーションジャンプは、はじめのジャンプでステップアウトして単独の4回転トウループになった。ただ、その後に予定していたトリプルアクセル-ダブルトウループを、トリプルアクセル-シングルループ-トリプルサルコウに切り替えてリカバリーを図る。
そしてトリプルループを決め、最後のトリプルルッツは体勢を崩しながらも懸命にこらえた。
あらゆる要素が向上しての金メダル。
フリーの得点は206.17。総合得点は317.85。この時点でトップに立った羽生は、続くハビエル・フェルナンデス、宇野昌磨に抜かれることなく、そのまま1位を保って連覇を達成した。
勝利を掴んだ要因をあえて1つあげるなら、総合力にほかならない。ジャンプ、スピン、ステップ、あらゆる要素を、非の打ちどころのないところまで羽生は向上させてきた。
ジャッジスコアに目をやれば、2つのジャンプのミスこそあったものの、それ以外の11の要素のGOEのほとんどには、最高を表す「+3」という数字が並んだ。プログラムコンポーネンツには、9点台後半という高い得点がずらりと並んでいる。