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銀の平野歩夢と、金のホワイト。
2人だけが知るハーフパイプ新次元。
posted2018/02/14 17:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
2月14日、フェニックスパークで行われたスノーボード・ハーフパイプ決勝。
そこで繰り広げられたのは、まさに4年に一度の大舞台にふさわしい、両雄相見える頂上決戦だった。
その1人は平野歩夢。
ソチ五輪では15歳、中学生で銀メダルを獲得。以降もXゲームをはじめ、数々の活躍で世界のトップスノーボーダーの1人としての地位を確立してきた。
2度目となる今回の平昌五輪には、4年前に手にすることができなかった世界一だけを目指し臨んでいた。そして、そのために必要なのは前人未到の4回転の連続技だと見定めていた。
世界一だけを目指して戦った2人。
今年1月のXゲームでは、フロントサイド(FS)ダブルコーク1440からキャブダブルコーク1440への連続技に世界で初めて成功。4回転の連続技を完成させたことで、平昌の金メダルも手が届くところにいた。
そんな平野にとって最大のライバルが、ショーン・ホワイト。
トリノ、バンクーバーと2大会連続金メダル、押しも押されもせぬスノーボードのスーパースターだ。だが、ホワイトはソチでは4位。彼もまた雪辱を期し、世界一を取り戻すことしか考えていなかった。
世界を代表する2人の英雄は、ホワイトが1位、平野が3位で予選を通過する。
ただ平野は、予選はあくまでも予選に過ぎないと割り切っていた。
「まだ出していない技も決勝のために残してあります。予選なのでとりあえず通ればいいと思っていました」
その言葉の通り、連続の4回転は出さずにいた。そして決勝を迎える。