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“スーパー小学生”から十数年……。
高木美帆にかかる日本勢メダル第1号!

posted2018/02/10 08:00

 
“スーパー小学生”から十数年……。高木美帆にかかる日本勢メダル第1号!<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

バンクーバー五輪、団体パシュートで銀メダルを獲得した時の高木美帆(写真右)は控え選手だった。左から、田畑真紀、小平奈緒、穂積雅子。

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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Naoya Sanuki

 2月9日、厳冬の韓国を舞台に開幕した平昌五輪は、10日から種目によっては決勝が始まる。

 史上最多メダルの期待も高まる日本勢の中で、メダル第1号候補として注目を集めているのが、スピードスケート女子3000mに出場する高木美帆(日体大助手)だ。

「3000mはスピードスケート界だけではなく日本選手団にとっても重要になる種目だと思っている。自分の中で3000mは絶対的な自信を持っていける距離ではないけれど、五輪の第一の舞台として全力を尽くしたい」

 エースとしての自覚をうかがわせる、力強い言葉が自然と出てくる。

 今回、高木美帆がエントリーしているのは1000m、1500m、3000m、マススタート、チームパシュートの5種目だが、本人が言うように、中距離を主戦場としている彼女が最も得意な種目は1500mであり、3000mは世界大会に出れば得意と言える距離ではなかった。

 だが、今季は違う。強気の言葉が出てくるのは、大幅に地力を増しているという実感があるからだ。

高木美帆が16年ぶりに書き替えた日本記録。

 象徴されるのは昨年12月1日に行なわれたW杯カルガリー大会女子3000mだ。

 高木美帆はそれまでの自己ベストである4分4秒50を一気に7秒以上も更新し、3分57秒09の日本新記録をマークして、この種目で日本勢として初のW杯優勝を果たした。

 それまでの女子3000mの日本記録は、'02年1月に同じくカルガリーのリンクで田畑真紀(当時富士急)がつくった4分1秒01だった。当時の世界歴代3位に相当する好タイムはその後、約16年も塗り替えられず、個人種目では最古の日本記録となっていた。それを“本職”ではない高木美帆が大幅に上回ったのだ。

「順位よりもタイムがうれしい」。W杯で優勝したにもかかわらず、真っ先に記録を喜ぶくらい、圧巻の成長ぶりだった。

【次ページ】 周囲の予想以上に活躍してしまった難しさ。

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