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アイスホッケー姉妹、2人で五輪へ。
床亜矢可&秦留可の夢は両親に……。
posted2018/01/24 07:00
text by
神津伸子Nobuko Kozu
photograph by
AFLO
4年前は1人だった。
「姉妹そろって五輪へ行く」。そう誓ったはずなのに。
ソチ五輪直前、アイスホッケー女子日本代表スマイルジャパンの飯塚祐司監督(現コーチ)からの出場選手内定の電話に先に出たのは、姉の床亜矢可(とこ・あやか)だった。姉はメンバー入りし、妹・秦留可(はるか)は落選した。
電話の向こうで、ずっと泣いていたのは姉の方だった。飯塚は、そう記憶している。
両親は、姉妹が揃って五輪に出れる日まではと、ソチへは行かなかった。
秦留可は平昌五輪に必ず出場すると決意を固め、「人生で最も努力した4年間」を過ごし、そしてリベンジを果たした。平昌では、家族全員が揃う。
ロシアとの親善試合では姉妹が得点に絡む活躍。
スマイルジャパンは昨年、世界の強豪があつまるフィンランドでの大会で1勝も挙げられなかった。
チーム力は、ソチ五輪に比べて格段に上がっているが、主将の大澤ちほが「得点力がない。結果が出せない」と語る通り、現時点で課題ははっきりとしている。
フィンランドから帰国後は集中的に攻撃を強化し、迎えた年末、チームはロシアとの親善試合2連戦に臨んだ。会場は長野五輪の舞台となったビッグハット。未来のスマイルジャパンを目指す少女たちや、多くのファンが集まった。
その声援に押され、スマイルジャパンは奮闘する。先制されながらも逆転し、3ピリオド途中までは4-2とリード。しかも、2点目は亜矢可がゴールを決め、秦留可とエース久保英恵がアシスト。4点目を決めたのは秦留可で、アシストに回ったのは亜矢可と久保だった。
「姉妹の大活躍で、世界ランキング4位に勝利!」
そんな見出しが、頭の中で躍っていた。しかし、そこからみるみる追い上げられ同点。延長戦でも決着がつかず、サッカーのPK戦にあたるゲームウィニングショットで敗れた。試合後、泣きじゃくるゴーリー(ゴールキーパー)小西あかねの姿が忘れられない。
それでも2試合目は、五輪最終予選で補欠だった獅子内美帆が活躍し、貴重な勝利を挙げた。姉妹のワンツーゴールでの勝利はお預けとなったが、チームは自信を取り戻した。