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日韓戦に激勝、稲葉ジャパン初陣。
山川穂高の打撃を内川聖一が絶賛。

posted2017/11/17 12:00

 
日韓戦に激勝、稲葉ジャパン初陣。山川穂高の打撃を内川聖一が絶賛。<Number Web> photograph by AFLO

おかわり2世と呼ばれるのは、体型だけが理由ではない。群を抜くスイングスピードと、逆方向への打球。期待度は高い。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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 ドラマチックな幕切れは、新監督のデビュー戦としてはこれ以上ない演出だった。

 タイブレークに入った延長10回。先に点を取ったのは韓国だ。侍ジャパンの7番手・又吉克樹(中日)が打たれた。1死一、二塁から韓国の6番・リュウ・ジヒョクにセンターオーバーの二塁打を浴び、続くハ・ジュソクにも右翼線にタイムリー二塁打を打たれて3失点。日本は絶体絶命のピンチに追い込まれた。

 しかし、崖っぷちから一振りでチームを生き返らせたのが、稲葉篤紀監督が「この大会はあいつと心中する」と宣言していた5番の上林誠知(ソフトバンク)だった。

 1死一、二塁。カウント3ボール1ストライクから141キロの高めのストレート。

「3点差ならワンチャンスでいけると思っていた。すごく嬉しかった」

 バックスクリーン右に叩き込む同点3ラン。そして2死から西川龍馬(広島)が右前に落とすと、続く8番・田村龍弘(ロッテ)の4球目に二盗。すかさず次の球を田村が前進守備の左翼の頭上を遥かに越えてフェンスを直撃する二塁打にして、西川がサヨナラのホームを駆け抜けた。

「選手たちの表情を見たら、絶対にいけると思った。彼らが声を出して結束してくれたのが、最後に勝利につながったと思う」

 初陣をサヨナラ激勝で飾った稲葉篤紀監督の表情は、喜びと手ごたえ、そして安堵が入り混じっているように見えた。

序盤は韓国の先発右腕に押さえ込まれる展開。

 序盤は韓国先発の右腕・チャン・ヒョンシクのパワーピッチに押される展開だった。3回に敵失で1点を先制したが、4回には先発の薮田和樹(広島)が捕まり継投に入った。しかし、2番手の近藤大亮(オリックス)も適時安打を浴びてこの回一挙に4点を奪われ逆転を許した。

 日本の反撃は6回。この回先頭の3番・近藤健介(日本ハム)が左前安打で出塁すると、4番の山川穂高(西武)が右中間に代表1号となる2ランを放って1点差として、9回の押し出しによる同点劇へと結び付けた。

【次ページ】 稲葉監督が語っていた「国内の実績よりも対応力重視」。

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