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トライアウト、彼らの前途に幸あれ。
あまりに狭き門と絡み合う「物語」。

posted2017/11/17 10:30

 
トライアウト、彼らの前途に幸あれ。あまりに狭き門と絡み合う「物語」。<Number Web> photograph by Kyodo News

ソフトバンクから戦力外通告された大隣憲司は、2017年の参加者の中でも頭1つ抜けた存在感を発揮していた。

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 プロ野球の戦力外通告は2次に分けて行われる。今年は第1次は10月1日から13日まで。第2次は10月25日から11月5日まで。ただし、日本シリーズに出場したソフトバンクとDeNAは11月9日まで。今年もこの間に、130人の選手が球団を離れることとなった。

 10月26日のドラフトでは、114人の選手が指名されている。これに加えて外国人の獲得も予定されているから、このくらいの選手が退団することになる。

 今年の現役選手は育成を含めて908人だから、その14%が入れ替わるわけだ。

 戦力外を通告された選手は、野球をやめるか否かの選択を迫られる。まだ現役を続行したい選手のために、NPBは「12球団合同トライアウト」を実施している。

 球団にとって、これは「戦力外選手のフリーマーケット」だ。12球団の関係者が集まり、使えそうな選手を物色する。選手も自分の売り物を必死にアピールする。

2015年は48人中3人が契約にこぎつけた。

 しかしながら、トライアウトで売買が成立する率は非常に低い。

 2014年まで「12球団合同トライアウト」は東西で2回行われていたが、2015年から1回になった。

 2015年は投手33人、野手14人が参加したが、NPBに移籍が決まったのは

白根尚貴(ソフトバンク・内野手) →DeNA
鵜久森淳志(日本ハム・外野手) →ヤクルト
金伏ウーゴ(ヤクルト・投手) →巨人

の3人だけ。

 このうち、ソフトバンクの白根は二軍では強打者として知られていたが、層の厚い野手陣に食い込むことができず育成契約だった。球団は来季も育成枠での契約を提示したが、白根はこれを蹴って自由契約になり、トライアウトを受けた。他の選手とは事情が違う。その白根はトライアウトで3安打して実力を見せつけた。2016年には念願の一軍試合出場を果たしている。

 また鵜久森淳志は、今季ヤクルトで2本のサヨナラ満塁本塁打を打つなど活躍している。

 なお、下記の3選手はトライアウトの後、各球団のテストを受けて入団を決めている。

大田阿斗里(DeNA・投手) →オリックス育成
田中靖洋(西武・投手) →ロッテ
山内壮馬(中日・投手) →楽天

【次ページ】 多くの選手にとって、ユニフォームを着る最後の機会。

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