濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
RENA、那須川天心に福岡熱狂も……。
RIZINの“常識はずれ”に功罪あり。
posted2017/10/20 07:30
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
何かすっかり時代が変わったという感じだ。
一昨年の旗揚げ大会にはエメリヤーエンコ・ヒョードル、その後もヴァンダレイ・シウバやミルコ・クロコップが出場してきたRIZINだが、10月15日の福岡大会で主役となったのはRENAと那須川天心だった。
どちらも立ち技格闘技から、RIZINでMMAに初挑戦した“二刀流”ファイター。RENAは26歳、那須川は19歳だ。そんな2人が、福岡大会のメインイベントとセミファイナルを務めた。しかもこの2試合は、フジテレビで生中継されている。桜庭和志vs.フランク・シャムロックのグラップリングマッチもあったのだが、このレジェンド対決はあくまで脇を固めるといったイメージだった。
いま最もファンに求められているのは、PRIDEにもDREAMにも戦極にも出たことがない2人なのだ。
ポジションだけでなく、内容面でも榊原信行実行委員長が「セミとメインに救われた」というほどだった。
この日、組まれたのは特大ボリュームの16試合。地方興行ということもあってあれもこれもと詰め込んで見どころを多くしようとしたのだろう、結果として全体の印象が散漫になった。そこを見事にRENAと那須川が締めたのだ。
那須川が藤田大和との熱戦で得た経験とは?
那須川が闘ったのは、アマチュアボクシングで数多くのタイトルを獲得してきた藤田大和だ。
藤田はアマMMAの経験はあるが、プロの試合は今回が初。キックボクシングで図抜けた戦績を誇り、MMAでも無敗の“神童”にデビュー戦の相手をさせるのか、ミスマッチではないのかという声もあったが、試合はフルラウンドの熱戦になった。
藤田は藤田で、ボクシングの世界でオリンピックを目指し、何度も修羅場をくぐってきた。その経験値、勝負度胸が発揮されたと言っていいだろう。
蹴りが届かない遠い間合いから一気に踏み込んでのパンチなど、那須川と打撃で競り合ってみせる。きれいな右ミドルをヒットさせる場面もあった。
そこから藤田は組み付いて那須川を崩しにかかる。打撃勝負が期待されたこの試合だが、あくまでMMAなのだ。そのことで、試合のスリリングさが増した。