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村田諒太とミドル級頂点の距離は?
ゴロフキンvs.アルバレスの意味。
posted2017/09/19 11:40
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
AFLO
ミドル級3団体統一王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と元WBC世界同級王者サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)の一戦が16日(日本時間17日)、米ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われた。
結果はジャッジ3人の判定が割れるドローで、再戦が濃厚となった。10月22日、WBAミドル級王者アッサン・エンダム(フランス)との再戦が決まっている村田諒太(帝拳)が戦場とするミドル級戦線は、今後どのような展開を描いていくのだろうか。
「ゴロフキンとカネロの勝者は、僕の目指すところだと思っています」
この一戦を前にした村田のコメントである。まずはその意味を理解するために、ミドル級の勢力図を確認しておこう。
トップに君臨するゴロフキンはWBA“スーパー”、WBC、IBFの3本のベルトを保持。今回の試合まで37戦37勝33KO無敗の戦績を誇り、WBA王座にいたっては実に17度の防衛に成功している、ミドル級のキング・オブ・キングスだ。
ゴロフキン以上のファイトマネーを得るアルバレス。
村田が10月に再戦するエンダムはWBAの“正規”王者で、ゴロフキンよりは1つ下の王者に位置付けられる。そしてWBO王者が英国のビリー・ジョー・サンダース。つまりミドル級はメジャー4団体で計3人のチャンピオンが存在することになる。
アルバレスはもともと1つ下のスーパー・ウェルター級で世界を制した実力者で、これまで51戦して49勝34KO1敗1分。フロイド・メイウェザー(アメリカ)に敗れたのが唯一の敗北だ。特筆すべきはその実力だけでなく、27歳と若く、何より圧倒的な人気を誇ることであろう。
この一戦のファイトマネーも、最低保証額(実際にはペイ・パー・ビューの売り上げに応じた配分が加わる)が500万ドル(約5億5000万円)で、チャンピオンのゴロフキンが300万ドル(約3億3000万円)。人気ではゴロフキンを上回っている何よりの証と言えるだろう。