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サマートレードと意外な名前。
マエケンのドジャースの狙いは?
posted2017/07/22 09:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
大リーグのオールスターも終わって、夏のトレードがそろそろ活発化してきた。ご承知のとおり、これは主に、ペナント争いをしている球団が、今季はすでに匙を投げた球団から有力選手を獲得するトレードだ。期限は7月いっぱいだから、本格的な動きはまだこれからだろうが、有力チームもそれぞれに弱点を抱えている。ゲーム差や勝率だけを見て、安心していられるわけではないのだ。
いち早く動いたのはナショナルズだった。7月20日現在、勝率6割6厘。2位のブレーヴスには11.5ゲーム差をつけているから、ポストシーズンのチケットは手に入れたも同然だ。
先発投手、クローザー……各球団の補強ポイント。
だが、このチームにはクローザーがいない。先発陣にマックス・シャーザー、ジオ・ゴンザレス、スティーヴン・ストラスバーグという強力なトリオが揃っているにもかかわらず、抑えがいないのだ。ここ数年は、ジョナサン・パペルボンやマーク・マランソンが金看板だったが、彼らが去った今季は、なんと合計7人の投手がセーヴ・ポイントを挙げている。裏を返せば、必殺の抑えが不在だ。これではポストシーズンに暗雲が立ち込める。
そこでアスレティックスから獲得したのが、ショーン・ドゥリトル(30歳)とライアン・マドソン(36歳)のヴェテラン投手だ。両者ともピークは過ぎた感があるが、前者は14年に22セーヴ(防御率2.73)、後者は16年に30セーヴ(防御率3.62)を挙げた実績がある。彼らふたりと、今季のブルペンでは最も安定しているマット・アルバースを継ぎ合わせれば、ゲームの終盤ではらはらしなくてもすむかもしれない。
一方、先発投手が欲しいのは、アストロズだ。すでに地区制覇は確定的(2位に15.5ゲーム差)だが、序盤戦好調だったダラス・カイケルとランス・マッカラーズJr.の故障で、急に空が翳り出した。9勝0敗、防御率1.67と飛ばしていたカイケルは首の不調を訴え、6月2日の試合を最後に休養に入った。7月下旬には復活できる模様だが、ベンチもしばらくは気がかりだろう。