濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
WWEで初凱旋のヒデオ・イタミ。
無効試合に感じた苦悩と試行錯誤。
posted2017/07/07 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
今年は6月30日と7月1日に両国国技館で開催されたWWE日本公演。この大会は、海の向こうのスーパースター(WWEでは選手をこう呼ぶ)をライブで見ることができる毎年恒例のお祭りであると同時に凱旋マッチ、古い友人同士が再会を喜び合う“同窓会”のような面もある。
言うまでもなく、WWEは世界最大のプロレス団体だ。
成功を夢見るレスラーたちが数え切れないほど売り込んでくるし、団体側も有望レスラーを常に探している。大小さまざまな団体が個性を競い合う“プロレス大国”日本で実力を蓄え、知名度を上げてWWEと契約する選手は少なくない。
WWEで息の長い人気選手となったクリス・ジェリコは、1990年代に天龍源一郎率いるWARで腕を磨いた。当時は冬木弘道のユニット〈冬木軍〉に所属。今回の日本大会でも見せた“マッチョポーズ”は冬木の代名詞だったものだ。
近年ではプリンス・デヴィットが新日本からWWEへ。新リングネームのフィン・ベイラーとして系列イベントのNXTでチャンピオンになり、現在はトップ戦線で活躍している彼は、合宿所で生活していたこともある“新日本育ち”だ。
そういう選手、いわば“昔なじみ”たちが、アメリカで出世して戻ってくる(外国人であっても、なぜかそんな感覚がある)姿は、本当に感慨深いものだ。
「日本のファンは最高だ」
なんてことはないはずの一言が、やっぱり嬉しいのである。今回は2日目にベイラーがジェリコに勝利。マイクを握ったベイラーの流暢すぎる「お久しぶりです!」でユニバース(WWEファン)は沸きに沸いた。
今年の両国大会には日本人が3選手登場!
さらに今年の日本大会では、かつて新日本マットも席巻したカール・アンダーソン&ルーク・ギャローズがRAWタッグ選手権でシェイマス&セザーロと大激闘を展開している。敗れはしたが、その実力者ぶりは健在だった。
ヒデオ・イタミ、ASUKA、戸澤陽と日本人スーパースターが3人登場し、彼らと日本のプロレスファンが“再会”したのも今回の大きなトピックだろう。
この3人に加え中邑真輔が大活躍中、またスターダムを退団した宝城カイリもカイリ・セインとリングネームを変えて参戦することが発表された。