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CL連覇狙うレアルの本質は中盤だ。
クロース&モドリッチ、最強の2人。

posted2017/06/01 11:00

 
CL連覇狙うレアルの本質は中盤だ。クロース&モドリッチ、最強の2人。<Number Web> photograph by AFLO

昨季ビッグイヤーを手にしたクロースとモドリッチ。彼ら中盤が機能する今のレアルは、手のつけられない強さを見せている。

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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 マンチェスター・ユナイテッドが本当に赤い悪魔のようだった頃のロイ・キーンとポール・スコールズ、時計仕掛けのバルサを動かしていたシャビとアンドレス・イニエスタ、チャンピオンズカップ(チャンピオンズリーグの前身)を最後に連覇したミランのフランク・ライカールトとカルロ・アンチェロッティ。欧州の頂に君臨してきたチームには、ひときわ優れたセントラルMFのデュオがあった。心臓、エンジンといった表現が頻繁に使われるチームの根幹だ。

 そうした過去の偉大な先達さえ凌ぐ印象を与えているのが、二季連続でチャンピオンズリーグ(CL)決勝に駒を進めたレアル・マドリーの二人、トニ・クロースとルカ・モドリッチだ。個人的にはモダンフットボール史上最高のペアではないかと考えている。少なくともエレガンスという点においては間違いなく、また総合力でもベストコンビの一つのはずだと。

 判断の速度と確度、技術と実績とそれによる自信、そして何より落ち着き払った優雅な所作。この点で彼らと張れるのは、フェルナンド・レドンドやデメトリオ・アルベルティーニ、パトリック・ビエラ、あるいは現役晩年のジネディーヌ・ジダンあたりによる夢のコンビくらいだろうか。もちろん、そんなものは実現しなかったけれども。

東ドイツ出身として初のW杯優勝を経験したクロース。

 すっと伸びた姿勢で完璧なパスを出し続けるクロース。現在27歳のドイツ代表は、24歳でクラブと代表の世界一に立った、フットボール界のスーパーエリートの一人だ。少年時代に神童と謳われながら消えていく者は数多いるが、彼はその背筋と同じようにまっすぐ成長し、名門バイエルンで史上最年少デビューを果たし(当時)、その7年後には旧東ドイツ出身選手として初のW杯優勝を成し遂げた。

 それからもクロースの円熟味は増し続け、今季も見事なパフォーマンスを披露している。CLではここまで、アトレティコ・マドリーのコケに次ぐ764本のパスを通しているが、成功率ではコケの88%に対して、94%と極めて高い数字を叩き出す。

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