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選抜をかけた超スラッガー対決実現。
早実・清宮幸太郎vs.日大三・金成麗生。

posted2016/11/02 11:45

 
選抜をかけた超スラッガー対決実現。早実・清宮幸太郎vs.日大三・金成麗生。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

打った瞬間に、ホームランと分かる弾道。左投げ左打ちの金成からは高校2年生とは思えぬオーラがある。

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中村計

中村計Kei Nakamura

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NIKKAN SPORTS

 10月30日、秋季高校野球東京大会の準決勝2試合が行われた。第1試合は、世代最強スラッガー清宮幸太郎を擁する注目の早稲田実業が、国士舘に9-0で7回コールド勝ちを収める。その次の試合、日大三vs.日野で、とんでもない打球を見た。

 まるで往時のラルフ・ブライアント(元近鉄)を彷彿とさせるような放物線だった。

 5回裏、日大三の6番・金成麗生(かなり・れお)が打ち上げた打球は、通常ボールが上がる高さのはるか上まで上昇し、神宮第二球場の最上段のネットを揺らした。

 場内から、ため息にも似た感嘆の声があがる。

 結局、金成の特大3ランもあって、日大三も、7-0と7回コールドでケリをつけた。

 これまで清宮のホームランを何本も見たが、見た目の「飛んだ」感は、同等か、あるいはそれ以上にも思えた。

「飛距離は負けていないと思うんで」と本人。

 大飛球を目撃する前から、金成の存在が気になって仕方なかった。身長193センチ、体重101キロと、まず何よりもそのスケールによる存在感が圧倒的なのだ。彼は、何者なのだ? と。

打の日大三高の歴史の中でも引っ張った打球は一番?

 しかも小顔でモデルのような体型をしている。アメリカ人の父は、学生時代までアメフトをやっていて、身長は194センチと、さらに大きいという。

 スポーツメーカーが実施する体力測定では、背筋力は300キロの目盛りを振り切り、測定不能。ぶっちぎりで全国1位をマークした。

 金成は中学生時代は、投手一本だった。ただ成長痛がひどく、なかなか本格的な練習を積むことができなかったという。高校入学後も1年半は投手に専念したが、球速は140キロ出るか出ないか。体が大きい選手の特徴で、まだまだ発展途上。遅咲きの選手で、そのためなかなか話題にはならなかったのだ。

 打の日大三の歴史においても「引っ張った打球はいちばんかも」(小倉全由監督)というパワフルな打撃を生かそうと、この夏から、本格的に打撃練習に取り組む。投手と並行して、ファーストとしても試合に出始めると、瞬く間に11本のホームラン(通算14本)を積み上げた。

【次ページ】 清宮に「負けらんねえと思ってやってきた」。

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