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37歳の武幸四郎は父に似てきた。
偉大な兄と、会って変わった印象。
posted2016/10/24 07:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Takuya Sugiyama
そういえば、最近見かけないなあ。
Number913号「武豊 四千勝のすべて」の企画会議で彼の名前が挙がったとき、そう思った。
武豊の弟、幸四郎。今年の成績は現時点で10勝。重賞勝ちもない。来月の11月3日に38歳になる。昨年、調教師試験を受けて不合格。今年も受けるという。
10月某日、京都で幸四郎さんに会った。第一印象は、やっぱり似てるなあ、だった。
さかのぼること2カ月前、今回の書き手である片山良三さんは、小誌の巻末にある「スコアカード競馬」で、豊・幸四郎兄弟の父、武邦彦さんの追悼コラムを書かれた。
編集者は原稿を受け取ると、そのテーマにマッチする写真を探す。在りし日の邦彦さんの写真を眺めて思った。豊さんにそっくりすぎる、と。
編集者はまた、ページが決まると、その取材対象の写真を探し始める。10代と20代、若かりし頃の幸四郎さんの写真を眺めて思った。どっちかというと豊さんのほうが父親似だ、と。幸四郎さんのページの終わりに載せた、貴重な武家スリーショット(邦彦さんが調教師を勇退する日に撮影)を見れば、そう思っていただけるはずだ。
でも、実際に37歳の幸四郎さんにお会いすると、印象が変わった。幸四郎さんも十分、邦彦さんに似てるなあ、と。
調教師試験に向けて1日5~6時間の勉強中。
インタビューは1時間強。偉大なる父と兄を持つ弟として、これまでの競馬人生を振り返ってもらった。武家の食卓風景やデビュー当時の“思い上がり”、そして知られざるケガとの戦いなど、詳細を聞くことができた。
当然、近況についても聞いた。調教師試験のために猛勉強の日々を過ごしているという。
「騎手という仕事は変わっていないのに、勉強という作業が増えただけで生活は一変しました。1日5~6時間ですけど、いままでしたことがなかっただけに、しんどいですね」
最近、週末に騎乗機会が減っているのは、勉強に専念しているからだ。