球道雑記BACK NUMBER
再び“下克上”のキーマンになれるか?
ロッテ清田育宏がCSで期待できる理由。
posted2016/10/07 12:50
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
NIKKAN SPORTS
とても台風が近付いているとは思えない、穏やかな風が吹いていた。
10月5日の午後、QVCマリンフィールドの風速計はレフト方向に1mの微風を示していた。この日の最終組で打撃練習に入った千葉ロッテ・清田育宏の打球は、彼の前後を打ったアルフレド・デスパイネやヤマイコ・ナバーロの両外国人スラッガーに劣らない飛距離と、力強さを感じさせるものだった。数日後に迫ったCS(クライマックスシリーズ)開幕に向けて視界良し。現在のチーム状況の好調さを窺わせた。
これと似た光景に記憶がある。
今年2月の石垣島春季キャンプ、来日直後でメディア関係者の好奇の眼差しを一身に集めていたナバーロが滞空時間の長い打球を次々とスタンドへ放り込み、名刺代わりにしたその後で、清田もそれに負けじと石垣の空に向かって「高く、遠くへ」と打球を飛ばした。
「今日は風ですね(笑)でも、感じは悪くなかったので、これは行っただろと打った瞬間に分かるやつだったら多分風がなくても行ったと思う。それは素直に良かったですね」
彼は笑いながらも、手応えを感じていた。
伊東監督「当然、昨年のような活躍ができると……」
2016年オープン戦成績 12試合出場 36打数15安打 打率.417、本塁打1、打点7
キャンプ、オープン戦では好調をキープした。中間には侍ジャパンにも招集されるなど着々とスター選手の階段を登る姿に、昨年以上の成績を期待した人も多かったはずだ。
しかし、シーズン開幕を迎えると様相は一変する。
北海道日本ハムとの開幕戦で2三振、1併殺を含む4打数0安打に終わると、その後も数字はなかなか思うように上がらず交流戦開幕を前にして打率は.234と低迷。
「昨年あれだけの数字を残した選手だし、当然、昨年のような活躍ができると思っている」と伊東勤監督は復活を信じて起用し続けたが、交流戦ではさらに数字が落ち込み、ついに技術的な問題ではなく精神的な問題と首脳陣は判断。7月に二軍での再調整を言い渡した。