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白鴎大・中塚駿太の巨大エンジン!
丸顔に負けん気が潜むドラ1候補。
posted2016/10/10 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Takashi Kimura
10月に入った。いよいよ「ドラフトの季節」である。
20日のドラフト本番まで、選手たちは最後のアピールの場をいかに輝かせるか、スカウトたちはそれを受けて、どんな“決断”を下すのか。まさに、「勝負の20日間」が続く。
「2016ドラフト」の主役たちは、高校生、大学生いずれも投手たちである。
高校生はすでに夏でアピールの機会を終えているが、プロ野球をこころざす大学生たちにとって、秋のリーグ戦はまさに最終審査の場となる。
ドラフト間際の秋にアピールを果たした選手たちは、印象が強烈でドラフト本番まで間がないだけに、ぐんと評価が上がる。
評価を決するのは人間なので、間際のアピールほど印象が強いのは当然である。
当初「2016ドラフト」は、創価大・田中正義のためにあるような様相を呈していた。
しかし、春先から右肩の調子が思わしくない田中正義の様子が一進一退する中で、明治大・柳裕也が“実戦力”で台頭し、この秋は桜美林大・佐々木千隼という新鋭が“パワーと潜在能力”でぐんぐん頭角を現すと、今度は北関東に白鴎大・中塚駿太という“ジャンボエンジン”が急速に頭をもたげてきて、この4人の剛腕・快腕たちが、学生球界のドラフト候補投手の「横綱・大関」の位置を占めてしまった。
誰が横綱で、誰が大関か、それは球団によって考えの異なるところであり、それがドラフト当日の“解答”になろう。
キャッチボールで145キロ、あおったらすぐ155キロ。
9月下旬、白鴎大・中塚駿太のピッチングを受けさせていただく機会があった。筆者が発行する雑誌『野球人』の「流しのブルペンキャッチャー」に登場していただいたのだ。
春先の創価大とのオープン戦でリリーフのマウンドを見て、春のリーグ戦のブルペンとやはりリリーフでの投げっぷりを見て、それがとても興味深かったからだ。
キャッチボールで145キロ。ブルペンのたち投げで150キロ。座って、「さあこい!」なんてあおったら、すぐ155キロですよ。
白鴎大・黒宮寿幸監督の言葉にあおられたのは、こちらのほうだった。