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ネットの野球中継で大盛り上がり!
DeNAが仕掛けたバーチャルスタジアム。
posted2016/09/07 15:20
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
YDB
9月6日、時計の針が18時を回った頃、横浜の大型商業施設「MARK IS みなとみらい」の一画に人だかりができていた。
正面に据えられた巨大スクリーンには、CS出場権を争うベイスターズとスワローズの一戦がライブ中継されている。初回、トップバッターの桑原将志選手が盗塁を決めると、画面に熱い視線を注いでいた観衆から自然と拍手が湧き起こった。
この映像、実は“電波”ではなく“通信”、つまりインターネット回線を通じて放映されている。来季からJリーグと放映権契約を結んだことでも話題となったパフォーム社が提供するライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」のデモンストレーションなのだ。
「横浜DeNAベイスターズ バーチャルスタジアム powered by DAZN at MARK IS みなとみらい」と銘打たれたこのイベント(9/8まで開催)では、会場内にタブレットも多数用意され、DAZNのサービスを手軽に体験できるようになっている。横浜スタジアムで開催中の試合のライブ映像(18時以降)はもちろん、過去のゲームの見逃し配信や、ラミレス監督と筒香嘉智選手の特別インタビュー映像を見ることができるほか、通常は横浜スタジアムでのみ提供している球団オリジナル醸造ビールや球団オリジナルから揚げ「ベイカラ」も味わうことができる。
「球界の新しい試みにチャレンジしていきたい」
前述の通り、パフォームのDAZNはJリーグとの10年総額2100億円という大型の放映権契約で一躍注目を集めた。腰の重いプロ野球界とのタッグが実現するのはまだまだ先のことかと思っていたが、8月23日、他球団に先駆けてベイスターズがDAZNでの中継を開始。驚くほどスピーディーに、新たな放映チャネルを手に入れた。
ベイスターズの主催試合は、CS放送(TBSチャンネル2)での完全生中継をはじめとしてテレビで放送されているほか、インターネットでも「SHOWROOM」「ニコニコ生放送」「スポナビライブ」で見ることができる。
4つ目のインターネット媒体として、DAZNでの配信を決めたのはなぜなのか。ベイスターズ広報部長を務める楠本淳氏は言う。
「今シーズン、横浜スタジアムの座席の稼働率は9割を超え、満員御礼もおかげさまで過去最高の回数を記録しています。スタジアムでの観戦をより楽しんでいただくために球場でのサービスを充実させていくのはもちろんですが、それと並行してベイスターズの魅力をより多くの方に知っていただくために、インターネットや様々なデバイスでも試合を楽しんでいただきたい。しがらみにとらわれず、球界の新しい試みにチャレンジしていきたいと考え、DAZNでの配信をスタートさせました」