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夏の甲子園、全代表校を観戦。
ブラバン応援の“ベスト9”を発表!

posted2016/08/24 07:00

 
夏の甲子園、全代表校を観戦。ブラバン応援の“ベスト9”を発表!<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

ロッテの応援曲を多用することでも知られる東邦高校吹奏楽部。そのレベルの高さは、極上の野球応援コンサートだ。

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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 今年も甲子園の熱い夏が終わりました。白球を真摯に追いかける球児たちの躍動に、感動の涙を流した方々も多かったはずです。しかし甲子園は球児だけの戦いではありません! 選手と同じ炎天下で一心不乱に応援し続ける観客席の人々も含めてこそ、「夏の甲子園」なのです。
 そんな甲子園の応援の中でも、ブラスバンドは別格の存在。各校が創意工夫を凝らすハイクオリティな応援ソングで選手達を鼓舞する風景は、まさに真夏のスペシャルコンサート!
 このコラムでは、吹奏楽歴30年余年……応援だけを聴きに球場へ通う“高校野球ブラバン応援研究家”梅津有希子氏が選んだ、「2016年夏の甲子園、ブラバン応援ベスト9」のランキングを発表いたします!

 作新学院が54年ぶりの優勝を飾り、夏の終わりを告げた甲子園。アルプススタンドでは、今夏も数多くの名演奏が繰り広げられました。球児たちを“音楽の力”で後押しすべく、灼熱の暑さをものともせず心を込めて演奏するブラバン応援を、今年も全出場校観戦してきました! その中から特に印象に残った応援を紹介してみたいと思います。

9位 大曲工業(秋田)

 今年の7月から応援に取り入れた『大工ファイヤー』の迫力と一体感が、とにかくすごい。原曲はユーロビートの『NIGHT OF FIRE』。10年ほど前に、長州小力がパラパラパフォーマンスを披露していた、あの曲だ。都市対抗野球ファンの間では、JR東日本が『JRファイヤー』という名で使用している曲としても知られている。

 両手にメガホンを持った応援団が順番にジャンプし、「大工ファイヤー!」と歌いながらエールを送る姿は、向かい側のスタンドから観ていても、かなりの脅威を感じた。

8位 前橋育英(群馬)

 メドレー形式でテンポよく演奏。『さくらんぼ』や『ルパン三世』などの定番応援曲に加え、吹奏楽部顧問の柿沼晴吾氏が約10年前に作曲した、『RUN and GO』などのオリジナル曲も持つ。全体的にスピード感あふれる演奏が特徴で、「ピンチになるとさらにテンポを上げる」と柿沼氏。現地で見ていて驚いたのが、スーザフォン(白くて大きい、体に装着して吹く低音楽器)を、頭上でくるくる回すパフォーマンスだ。同校のスーザフォン(YAMAHA製)は、重量が約9キロと決して軽くはないのだが、まるでピザ生地でも回しているのかのごとく、実に鮮やかに軽々と回す。マーチングではおなじみのパフォーマンスとのことで、群馬県内では得点時などに回す学校が多いという。

7位 八戸学院光星(青森)

 重厚な曲調が相手の不安感をあおるような、チャンステーマの『フェスティーヴォ』を初披露。ヴァーツラフ・ネリベル作曲の吹奏楽作品を選んだ理由は、「以前、大阪桐蔭や龍谷大平安と対戦した際、チャンステーマがとても印象的で、あの相手を威圧する雰囲気が、聴いているほうとしても嫌で嫌で……(笑)。うちもあんな曲が欲しいと思い、いろいろ考えてこの曲を選びました」と、吹奏楽部顧問の五十嵐敬彦氏は話す。

 大阪桐蔭の『You are スラッガー』、龍谷大平安の『怪しい曲』ともに、高校野球ファンの間で人気の高いオリジナル曲。攻撃的かつ威圧的な応援曲は、相手選手の心理に訴えかける力があるのは間違いない。

【次ページ】 『西部警察PARTII ワンダフル・ガイズ』が響き渡る!

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