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最強国相手で見えた可能性と限界。
日本女子バスケ代表は絶対強くなる。
posted2016/08/19 08:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
JMPA
女子バスケットボールの日本代表は、まことにエンターテインメント性が高い。
高さはないがシュート力があり、3ポイントをどんどん打つから、見ていてスリリングなのだ。オリンピックに出場できれば、必ずと言っていいほど大会をかき乱し、大いに盛り上げる。
それは現地で取材した20年前のアトランタ・オリンピック、7位入賞したチームの時もそうだったし(萩原美樹子、一乗アキ、加藤貴子など)、今回リオで準々決勝に進出したチームも同様だ。
グループステージで格上と見られたフランス、ブラジルを破り、オーストラリアに惜敗したものの、3勝2敗の成績は想定を上回るものだった。惜しむらくは、オーストラリアに勝っていれば、準決勝進出可能性がより広がっていたはずだ。この試合は、勝っている試合での終盤のゲームメイクが課題として浮き彫りになった。
世界最強のアメリカ相手に、前半は最高の試合を見せた。
準々決勝の相手は世界最強軍団、アメリカである。カレッジ、WNBAの選手たちをズラリと並べ、圧倒的な素質に恵まれて運動能力は抜群。おまけにシュートをはじめとしたスキルが高いのだから、手の施しようがない。
しかし日本は前半戦、大健闘を見せた。イギリスの『ガーディアン』紙は、「110-64というスコアが示すような一方的な展開だったわけではなく、日本は前半戦にこれ以上はないという、素晴らしいバスケットボールを展開した」とほぼ絶賛に近い論評。
キャプテン吉田亜沙美の「魂のプレー」から生まれるディフェンス、本川紗奈生の力強いドライブに栗原三佳の3ポイントシュート。まさに日本の持ち味が発揮され、エンターテインメント性が高い試合となった。
しかしその一方で、日本の弱点があぶりだされた一戦でもあった。