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わずか4日間で防御率1.69から3.73。
DeNA山崎康晃、悪夢を“笑顔の財産”に。
posted2016/08/11 08:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
NIKKAN SPORTS
1つの敗戦がチームに与える影響にはいろいろな種類がある。
相手エースに完封されれば、すっきりと切り替えて次の試合に臨めるかもしれないし、ミスの連続で自滅すれば、チームは意気消沈せざるをえないだろう。
ならば、絶対的守護神の不振による敗戦はチームにどんな影響をもたらすのか――。
“小さな大魔神”こと、DeNAの山崎康晃が打ちのめされたのは8月5日の中日戦だった。
出番がめぐってきたのは1点リードの9回。前日までの対阪神3連戦すべてに登板し、3回7失点とクローザーの役割を果たせていなかった山崎は、4連投となるこの日のマウンドに再起をかけていた。
だが満塁のピンチを招くと、なんとか2死までこぎつけながらも走者一掃の逆転打を浴びて、このイニングを投げ切ることなく涙ながらに降板。3回2/3を投げて10失点という悪夢のような4日間で、防御率は1.69から3.73までいっきに跳ね上がった。
2つ並ぶはずだった白星が2つの黒星に裏返った。
試合後、ラミレス監督は「(山崎の起用について)考え直さなければならない」と口にし、4連投の疲労を考慮してまずは休養を与えると明言。山崎本人は「疲れは僕自身は感じていない。できることをしっかりとやっていきたい」と前を向いて繰り返した。
痛い敗戦であるのは言うまでもなかった。
前日4日の阪神戦でも、山崎が登板した9回に2点差を追いつかれ、延長戦で逆転負け。2つ並ぶはずだった白星が2つの黒星に裏返ってしまったのだ。セ・リーグ3位につけるDeNAは初のCS進出が現実味を帯びつつあるが、昨季は首位ターンからの最下位という転落劇を味わっただけに、この連敗は嫌な予感をともなうものだった。
しかし、6日は4点ビハインドを跳ね返しての逆転勝利。7日もこまめな加点で4-1と試合をものにして、下位チームとの6連戦を3勝3敗の五分で乗り切った。
2日連続で登板を回避した山崎に代わって9回のマウンドに上がったのは、これまでセットアッパーを務めてきた左の田中健二朗と右の三上朋也だった。2人とも5連投となったが、1人の走者も許すことなく試合を締めくくった。