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オカダ・カズチカ、G1で連敗中――。
乱れ始めた精密ルーティーンの謎。
posted2016/08/10 11:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
オカダ・カズチカには、その身体能力に任せてこともなげに試合を進める、というイメージがある。
チャンピオンの戦い方だと言ってしまえば、それまでだが、パターン化したその動きは、言い換えればマンネリ感が少し漂ってきて、面白みに欠ける。
技のキレ味は変わっていない。だが、意外性が少なくなったのだ。
オカダには驚きがあった――想像以上のことをやってくれるオカダには期待感があった。だが、昨年11月の天龍源一郎戦以降、その驚きの部分が減少している。
オカダに何が起こっているのか?
「カネの雨を降らす」キャンペーンは大成功だが。
オカダが初めてIWGPのベルトを奪取したのが、2012年2月12日の大阪だった。オカダがスターダムへの階段を一気に駆け上がった時だ。
オカダはIWGPのベルトを腰に巻いて、引き揚げる花道で両手を広げた。リング上にはまだ、敗れた棚橋弘至が残ってオカダの背中を見つめていた。
あの光景は今でも、忘れられない。
この日が事実上のオカダ時代の幕開けとなったわけだが、時代があまりにも早く流れた印象があって、オカダが同じ年のG1クライマックスを制しても、「作られた王者」の印象が強かった。
オカダは実際にファンに認知されるのは、2013年4月に、もう一度、棚橋を倒して、ベルトを取り戻してからだろう。
「レインメイカーがカネの雨を降らす」というキャンペーンはうまくいった。
どこかの国のインフレ紙幣のように0の数が異常に増えたオカダの“レインメイカー・ドル”や“レインメイカー・ポンド”が、東京ドームや大会場で景気よく舞った。
私も1枚拾いあげて「せめて新日本のショップで使えたらいいのに」と笑った。